字幕と吹替(その2)
2003年2月27日1/24の日記でも書いたんだけど…リクエストがあったので、「字幕と吹替」の話をまた語りたいと思います。
私は字幕に対して「なにがなんでもセリフ通りの訳でないとダメ」という見解は持っておりません。前にも語ったように…あくまでも「映画や原作を台無しにしない字幕を希望する」だけ。どちらかと云えば、素晴らしい意訳を発見すると「おお〜!」と感心しちゃうタイプです(まあ、「ロード・オブ・ザ・リング」の場合はちょっと特殊なケースでしたが)。
ちなみにこの日記で書いてる「すちゃらか映画レビュー」でも、ときどき「なんだ?この字幕は!?」という話を書いてますが、これは「なんで?なんで?なんで〜〜!?」という純粋な疑問から書いてるだけで、字幕翻訳家を責めているのではありません。翻訳家の意訳センスに興味があるだけ〜。とくに日本人にはピンとこないセリフが出てきた場合など、気になって仕方がありません。
たとえば、去年印象深かったのが「ニューヨークの恋人」(原題:Kate & Leopold)。
レオポルド(H・ジャックマン)が、ケイト(M・ライアン)に連れられて、マーガリンCMキャラのモニターテストを受けるシーンでは、こんな字幕が流れてました。
(立ち位置とセリフを指示されカメラの前に立つレオポルドが、ADに演技の確認をするシーン)
レオポルド:
「サポーターのようにカメラに?」
アシスタントディレクター:
「サポーター?」
カメラマン:
「リポーターだよ」
レオポルド:
「了解」
このシーンを観たとき「あれ?本当にこんなこと云ってる?なんか違わない?」と思った人もいるんじゃないかニャ?
じゃあ、実際どんなセリフだったかと云うと――
Leopold:
“I take it this is to be performed in direct address? As on Geronimo”
(「直接的な語りで演じるということかね?…ジェロニモのように」)
*「perform」じゃなかったかも。いまDVDがないので確認できません〜。
AD:
“Geronimo?”
(「ジェロニモ?」)
Cameraman:
“He means Geraldo”
(「ジェラルドのことだろう」)
Leopold:
“Exactly!”
(「その通り!」)
――こんなにも違ってました。
でもまあ仕方がないかニャ?…レオポルドが云ってる「ジェラルド(ジェロニモ)」がいったい誰なのか、日本人にはわからないもん!
当然、私にもわからなかったので(オーストラリア人のMちゃんもわからなかった)、アメリカ人のEに「ジェラルドってだ〜れ?」と訊いたところ、Eいわく「たぶんジェラルド・リベラ(アメリカのCATVで放送されている、法律関係のトーク番組の司会者)のことだと思う」。…ふ〜ん。ニャるほど。
実はこれにはさりげなく伏線が張られてて、この映画の中でレオがソファに横になりながらボーっとしてるシーンがあります。そのとき彼の前にあるTVでは、なにやらトーク番組らしい放送が流れてて――どうやらそれがジェラルドさんの番組みたいです。この番組は週一放送ではないそうなので(週に2〜3放送あるみたい。CATV番組だからだろうニャ〜)、たぶんレオはその前の放送を覚えてて、「ジェロニモみたいに?」と云ったんじゃないかニャ?…だとすると、日本人にわかるわけがない背景だよニャ〜…。
じゃあ、そんな背景があるセリフをどう翻訳するか――これはまさに翻訳家の力量とセンスが問われるところ!…で、この映画の字幕翻訳家さんは「サポーター」と「リポーター」を引っ掛けて意訳したんでしょうけど…ちょっとオヤジ系だったかもニャ…。
でもさすがに――
レオポルド:
「みのまんたのように語ればいいのかね?」
アシスタントディレクター:
「みのまんた?」
カメラマン:
「…みのもんたのことだよ」
――というわけには(さすがに)いかないだろうニャ〜!!
ぎゃははははは!!
とまあこんな風に、私は翻訳家がどうやって訳すのか興味を持ちながら映画を観ています。それに…字幕次第でストーリーに対する理解度も変わってくるし。
でもって、「この字幕じゃ意味がわからない」「なんでこの言葉を選んだんだろう?」「吹替ではどんな風に訳されてるんだろう?」「実際、俳優たちはなんて云ってるんだろう?」とか気になっちゃうタイプだから映画を――
1.「日本語字幕」
(ストーリー把握と俳優たちの生声とセリフ回しを聞きたいから)
2.「日本語字幕+吹替」
(同じ日本語でも字幕と吹替では翻訳が違うし、さらにストーリーの確認をしたいから。またどんな声優が配役されてるかも興味があるから)
3.「英語字幕+吹替」(英語のお勉強のため)
――で、何度も観てしまうんだろうニャ〜…。
――とここまでは、日本語字幕の話。
じゃあ、日本映画にはどんな英語字幕がついてるのかニャ?
これに関して、最近観てビックリした映画がありました。
それは――「ルパン三世 カリオストロの城」(DVD版)です。
もうかなりショック受けちゃった…。
ルパンと次元の――あの洒落っ気があって、洗練されてて、と〜ってもカッコいいセリフの数々!…それが実につまんない英訳に……。………。海外におけるアニメの認識って、やっぱり「子供向け」なんだろうニャ〜…。セリフもないのに、状況説明のト書き風セリフが続くわ、次元はルパンに「ボス」って云ってるわ、クラリスは「I’ll love you forever!」ってルパンに云ってるわ…銭形警部との絡みも死んでるわ…(ただ、銭形の「とっつぁん」っていう表現は、さすがに同じ雰囲気の英訳はムリか)。まあ、日本人なら誰でも知ってる「ルパン三世」だけど、海外では知られてないから、外国人にはその微妙な背景もわからないだろうし…だからもう仕方ない話なのかも…(日本人だって、アメリカの「X-MEN」や「DAREDEVIL」あたりはわかんニャいしね)。
「ルパン三世 カリオストロの城」って…私に云わせりゃ日本一かと思うくらいセリフセンスが抜群な映画。でもあの字幕だと……それがぜ〜んぜん伝わってこないんだよニャ〜…。仕方がないとわかっていても…でもどうにかなんとかならないものか…。世界中の人があの字幕で観るかと思うと…ものすご〜〜〜〜〜〜く残念…。名作なのに…。
でも逆に云うと、007やオースティン・パワーズなんかも、日本人(もちろん私含めて)に通じてないセリフが多いんだろうニャ〜…。
あ〜…吹替の話ができなかった!…これはまた明日にでもするか〜。
では、また♪
私は字幕に対して「なにがなんでもセリフ通りの訳でないとダメ」という見解は持っておりません。前にも語ったように…あくまでも「映画や原作を台無しにしない字幕を希望する」だけ。どちらかと云えば、素晴らしい意訳を発見すると「おお〜!」と感心しちゃうタイプです(まあ、「ロード・オブ・ザ・リング」の場合はちょっと特殊なケースでしたが)。
ちなみにこの日記で書いてる「すちゃらか映画レビュー」でも、ときどき「なんだ?この字幕は!?」という話を書いてますが、これは「なんで?なんで?なんで〜〜!?」という純粋な疑問から書いてるだけで、字幕翻訳家を責めているのではありません。翻訳家の意訳センスに興味があるだけ〜。とくに日本人にはピンとこないセリフが出てきた場合など、気になって仕方がありません。
たとえば、去年印象深かったのが「ニューヨークの恋人」(原題:Kate & Leopold)。
レオポルド(H・ジャックマン)が、ケイト(M・ライアン)に連れられて、マーガリンCMキャラのモニターテストを受けるシーンでは、こんな字幕が流れてました。
(立ち位置とセリフを指示されカメラの前に立つレオポルドが、ADに演技の確認をするシーン)
レオポルド:
「サポーターのようにカメラに?」
アシスタントディレクター:
「サポーター?」
カメラマン:
「リポーターだよ」
レオポルド:
「了解」
このシーンを観たとき「あれ?本当にこんなこと云ってる?なんか違わない?」と思った人もいるんじゃないかニャ?
じゃあ、実際どんなセリフだったかと云うと――
Leopold:
“I take it this is to be performed in direct address? As on Geronimo”
(「直接的な語りで演じるということかね?…ジェロニモのように」)
*「perform」じゃなかったかも。いまDVDがないので確認できません〜。
AD:
“Geronimo?”
(「ジェロニモ?」)
Cameraman:
“He means Geraldo”
(「ジェラルドのことだろう」)
Leopold:
“Exactly!”
(「その通り!」)
――こんなにも違ってました。
でもまあ仕方がないかニャ?…レオポルドが云ってる「ジェラルド(ジェロニモ)」がいったい誰なのか、日本人にはわからないもん!
当然、私にもわからなかったので(オーストラリア人のMちゃんもわからなかった)、アメリカ人のEに「ジェラルドってだ〜れ?」と訊いたところ、Eいわく「たぶんジェラルド・リベラ(アメリカのCATVで放送されている、法律関係のトーク番組の司会者)のことだと思う」。…ふ〜ん。ニャるほど。
実はこれにはさりげなく伏線が張られてて、この映画の中でレオがソファに横になりながらボーっとしてるシーンがあります。そのとき彼の前にあるTVでは、なにやらトーク番組らしい放送が流れてて――どうやらそれがジェラルドさんの番組みたいです。この番組は週一放送ではないそうなので(週に2〜3放送あるみたい。CATV番組だからだろうニャ〜)、たぶんレオはその前の放送を覚えてて、「ジェロニモみたいに?」と云ったんじゃないかニャ?…だとすると、日本人にわかるわけがない背景だよニャ〜…。
じゃあ、そんな背景があるセリフをどう翻訳するか――これはまさに翻訳家の力量とセンスが問われるところ!…で、この映画の字幕翻訳家さんは「サポーター」と「リポーター」を引っ掛けて意訳したんでしょうけど…ちょっとオヤジ系だったかもニャ…。
でもさすがに――
レオポルド:
「みのまんたのように語ればいいのかね?」
アシスタントディレクター:
「みのまんた?」
カメラマン:
「…みのもんたのことだよ」
――というわけには(さすがに)いかないだろうニャ〜!!
ぎゃははははは!!
とまあこんな風に、私は翻訳家がどうやって訳すのか興味を持ちながら映画を観ています。それに…字幕次第でストーリーに対する理解度も変わってくるし。
でもって、「この字幕じゃ意味がわからない」「なんでこの言葉を選んだんだろう?」「吹替ではどんな風に訳されてるんだろう?」「実際、俳優たちはなんて云ってるんだろう?」とか気になっちゃうタイプだから映画を――
1.「日本語字幕」
(ストーリー把握と俳優たちの生声とセリフ回しを聞きたいから)
2.「日本語字幕+吹替」
(同じ日本語でも字幕と吹替では翻訳が違うし、さらにストーリーの確認をしたいから。またどんな声優が配役されてるかも興味があるから)
3.「英語字幕+吹替」(英語のお勉強のため)
――で、何度も観てしまうんだろうニャ〜…。
――とここまでは、日本語字幕の話。
じゃあ、日本映画にはどんな英語字幕がついてるのかニャ?
これに関して、最近観てビックリした映画がありました。
それは――「ルパン三世 カリオストロの城」(DVD版)です。
もうかなりショック受けちゃった…。
ルパンと次元の――あの洒落っ気があって、洗練されてて、と〜ってもカッコいいセリフの数々!…それが実につまんない英訳に……。………。海外におけるアニメの認識って、やっぱり「子供向け」なんだろうニャ〜…。セリフもないのに、状況説明のト書き風セリフが続くわ、次元はルパンに「ボス」って云ってるわ、クラリスは「I’ll love you forever!」ってルパンに云ってるわ…銭形警部との絡みも死んでるわ…(ただ、銭形の「とっつぁん」っていう表現は、さすがに同じ雰囲気の英訳はムリか)。まあ、日本人なら誰でも知ってる「ルパン三世」だけど、海外では知られてないから、外国人にはその微妙な背景もわからないだろうし…だからもう仕方ない話なのかも…(日本人だって、アメリカの「X-MEN」や「DAREDEVIL」あたりはわかんニャいしね)。
「ルパン三世 カリオストロの城」って…私に云わせりゃ日本一かと思うくらいセリフセンスが抜群な映画。でもあの字幕だと……それがぜ〜んぜん伝わってこないんだよニャ〜…。仕方がないとわかっていても…でもどうにかなんとかならないものか…。世界中の人があの字幕で観るかと思うと…ものすご〜〜〜〜〜〜く残念…。名作なのに…。
でも逆に云うと、007やオースティン・パワーズなんかも、日本人(もちろん私含めて)に通じてないセリフが多いんだろうニャ〜…。
あ〜…吹替の話ができなかった!…これはまた明日にでもするか〜。
では、また♪
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