…というわけで、今日は「水まわりリフォーム 〜キッチン編〜」を。

■システムキッチンって?
いままでキッチンといえば、「パーツごとに分かれて段差のある流し台兼コンロ台」というものでしたが、いまはさまざまな用途に合わせた、一枚の天板が乗っかっているシステムキッチンが主流となりました。値段はお高めになるとはいえ、キレイな空間を持てるだけでなく、システムを組むことによりお料理の効率もあがるわけですから、自分に合った満足の得られるキッチンを選びたいものです。ポイントとしては、もし予算オーバーになっても、「ここだけは譲れない」という点を1〜2つ、必ず押さえておくこと。そうすれば、予算を削れる箇所が必ず見えてきますから。

■どこのメーカーがいいかしら?
シェア的な点から云うと、サンウェーブ・クリナップ・タカラ・松下電工(順不同…流動なので)が人気です。サンウェーブとクリナップは昔からキッチン・メーカーとして有名であり、とくにステンレスカウンターのキッチンを得意としています。タカラは頑丈なホーローがウリ、松下は松下電器産業グループですから、いろいろな家電や建材と組み合わせができるということ、つまりキッチン+オプションの総合的な方面で強いです。

システムキッチンの場合、メーカーによる差異はあまり感じられません。レンジフード、カウンター(とくに人工大理石)、IHクッキングヒーター/ガスコンロ、水洗金具……などなど、同じメーカーを使っていることが多いですし、カタログを見るとデザインもみな似たり寄ったりです。

では、どのメーカーを選べばよいか?

実は…正直に云うと、松下・TOTO・トーヨーキッチン以外のメーカーは「ここが違う!」といった、特長/特徴を挙げることが難しいのです。なので、各ショールームへ行き、アドバイザーに相談しながら見積書を作ること(もちろん無料)が、やはり最適なキッチンを選べる道となるのではないでしょうか?…面倒かもしれませんが、一生に何度もある話ではないし、人生における最大のお買い物の一部になるわけですから、頑張って吟味しましょう。

■ショールームでの見積書について

同じ条件(価格帯)で出してもらい、比較してみましょう。

ちなみに、リフォームをお願いする施工会社や住宅メーカーによっては、「このメーカーの商品だったらお安くできるけど、ここはちょっとムリなんだよね」という、ルート的な問題があったりする場合があるので、まず業者さんに確認することをオススメします。

なお、ショールームでの価格はあくまでもメーカー希望価格です。よほどのことがない限り、リフォーム業者さんはお勉強してくれるはず。実際の価格はもうちょっとお安くなると思います。

■動線を考えるべし!
各メーカーのカタログと図面とを照らし合わせながら、どの機能を充実させようかと考えていると、実際にキッチンに立って調理を行う際に、自分や家族がどう動くか、つい忘れてしまう場合があります。図面上ではパーペキ、自分の希望通りのキッチンが出来上がったのに、いざ使ってみたら「あれれれれ?なんか使いにくいよ?」。そういうことがないように、たとえばシンクの近くに冷蔵庫が置けるかどうか、電子レンジや炊飯ジャー、ゴミ箱の位置は使いやすいところにおけるか――現在お使いのキッチン、もしくはショールームにあるキッチンの前に立って、どのような移動するかをシミュレーションしてみましょう。

■IHクッキングヒーター?それともガスコンロ?
実はIHのほうがガスコンロと比べて熱伝導率が高いため、早く調理ができます。そして使ってみるとわかるのですが、たとえば真夏に調理した場合、どんなに部屋がクーラーによって快適でも、ガス火の近くにいると暑く感じます。ところがIHはお鍋やフライパンに直接熱を伝えるので、調理中に暑い思いをせずに済むのです。これはたいへん快適です。そしてお掃除が超ラクチンだし、お鍋をかけっぱなしにしても自動的に停止する安全装置(高温になり過ぎていると判断して止まる、という仕組みです)が付いているので、現在たいへん人気があります。ただし、電磁調理器なので、ペースメーカーをお使いになっている方は要相談。素材によっては使えないお鍋が出てくる可能性もあります。またリフォームの場合、IHはたしか200Vだったと思うので、電源部に変更が必要になるかもしれません。そして一番の問題は、やはりお値段が高いということです。

ガスコンロの利点は、やはり使い慣れているということでしょうか。そしてお値段。IHに比べてお安いですから魅力的です。また最近のコンロは比較的お掃除しやすいものがリリースされているので、チェックしてみましょう。

個人的にガスコンロよりIHをオススメしたいのですが(秋林家も使ってます)、「IHがいいのはわかっているけれど、予算オーバーになるからムリなのよね」という方は多いと思います。別に最初から組まなくても、あとでIHに変更することは充分可能ですし、電力会社が「ガスコンロ→IH」への経済的なプランを出していたりするので、将来変更しても良いと思います。

■ピルトイン自動食器洗い機は必要?
あると便利ですね(スライド式のほうがオススメ)。高温で洗って乾かすので衛生的ですし、後片付けもラクチンです。気をつけることがあるとしたら、シンクの横に配置しますので、収納が減る・食器を入れる際に汚れや水滴が下に落ちないよう配慮しなければならない・壊れたときデッドスペースになる…という点でしょうか。食洗機のゴムパッキンの寿命は、約5〜6年だったような覚えがあるので、ビルトインタイプの場合はメンテナンスが必要です。スペースがあるならば卓上タイプにしてみたり、予算オーバーなら将来的に購入するという手もあります。

■最近流行の対面式
ここ数年の傾向として、対面式キッチンの人気が高くなっています。

リビングに背を向けないので、小さいお子さんの姿を確認しながら、また家族と会話をしながら調理ができる、広く間取りが取れるといった利点があるため、対面式を希望する施主(とゆーか奥さま)はたいへん多いです。

がしかし。
ショールームへ行って、対面式キッチンの展示を見てみると「対面式キッチン2,500,000円(施工費別)」なんてお高い価格表が並んでいて、「これは高すぎる!」とため息をつくことはありませんか?

もちろん、ショールームの展示品価格やカタログ価格はメーカー希望価格(昔で云うところの「定価」)なので、実際はもうちょっとお安くなります。でも工夫やアイデア次第で、さらにお安くすることは可能です。ではいったいどうしたよいのか、いろいろ考えてみましょう。なお今回は、ラフ師匠のご希望のひとつである「手元が見えない対面式」を取り上げます。

1.収納付きカウンターではなく、作り付けカウンターを
対面式キッチンと云うと、以下のようなタイプがよく想像されると思います。

↓こーゆーの(タカラスタンダード公式サイト)
http://www.takara-standard.co.jp/product/system_kitchen/lemure.html
(これは見ただけで高いとわかる…)

↓またはこーゆーの(サンウェーブ公式サイト)
http://www.sunwave.co.jp/new_products/pitto/index.html

これでは手元が見えちゃいますよね?

手元が見えないようにするには、カウンターが必要になります。
ところが収納付カウンターを選択するとキッチン本体価格がUPしてしまいます。

↓対面式キッチン収納カウンター付プラン一例(TOTO公式サイト)
http://www.toto.co.jp/products/kitchen/k00017/plan05.htm
(ポットとカップが乗っかってる部分が収納付カウンターです)

価格を抑える方法のひとつとして、カウンターを施工会社(リフォーム業者)さんに作ってもらうという手があります。

↓まさにこんな感じ(TOTO公式サイト)
http://www.toto.co.jp/products/kitchen/k00017/plan06.htm
(テーブルをどうするかは別の話になります)

上のプランをよく見ると――自動食器洗い機ナシ、コンロ部はガスコンロ、キャビネットは、観音開きより価格お高めのスライド蹴込み収納タイプが選択されています。扉カラーは(たぶん)真ん中の価格帯、レンジフードはTOTOオリジナルのお掃除しやすいタイプかな。これで117万円…と云っても、キッチン本体はL型なのでI型を選択するならもっとお安くなるはず。

2.トップカウンター(天板)をステンレスにしてみる
対面式キッチンはリビングと溶け込む雰囲気を持っているため、インテリア重視の場合、トップカウンターを人工大理石にするプランを選択される方が多いです。

がしかし。この人工大理石はステンレスよりお高いのです。

デュポンコーリアン>アクリル製人工大理石>ポリエステル製人工大理石
(まだ種類があるかもしれませんが、とりあえず代表的なものを)

もし価格を抑えたいのならば、手元がある程度隠れるのですから、ステンレスカウンターを選択するのもひとつの手です。ステンレスカウンターは熱に強く、清潔感もあるし、リンクまわりと境目がないためお掃除がしやすいという特長があります。でもやっぱり大理石のほうが見た目がいいのよね…という方は、IHや食器洗い機、あるいはダウン式吊戸などをプランから外してみてもよいでしょう。

3.対面式は収納スペースが減ることを忘れずに
キッチン本体の収納力アップさせたい場合、吊戸が必要になります。ただし、吊戸が付くと価格が上るだけでなく圧迫感も出てきます。

↓「キャプラン」という商品の写真を見て下さい(クリナップ)
http://www.cleanup.co.jp/kitchen/index.shtml
(キッチン側からの写真なのでわかりにくいんですが、テーブルのほうから見ると重く感じると思います)

吊戸をなくしてキッチン本体部の収納力をアップさせるには、キャビネットのデッドスペースを減らすことを考えなければなりません。

となると…蹴込み収納(フロアコンテナ)付きスライド式キャビネットがよいかと思います。

↓こんなの(クリナップ公式サイト)
http://www.cleanup.co.jp/kitchen/ss/storage.shtml
(クリナップが開発し、他メーカーがこぞってマネをした収納プランです)

↓こんなの(TOTO公式サイト)
http://www.toto.co.jp/products/kitchen/k00017/02.htm
(けっこう入るんですよね)

4.注意/留意点
対面式カウンターを作ってもらった場合、キッチン本体からの立ち上がり部分(正面・サイド)にキッチンパネル、もしくはタイル貼り処理をオススメします。水はねや汚れ対策になります。キッチンパネルを選択するなら、ショールームで見積書を出す際に「この部分にパネルを貼りたい」と申し出てみましょう。アドバイザーや業者によっては最初から提案してくれますが、どんな人が担当になるかわかりません。こちらから希望を出したほうがよいでしょう。

以上、こんな感じかな…。
思い出したらまた追記します。

■たかがレンジフード、されどレンジフード
プロペラファンとシロッコファンがある…という話はさておき。レンジフードのお掃除ってタイヘンですよね。数ヶ月に1回、ダンナさんのお仕事として割り振っている奥さまは多いようで、ショールームにご来場のご夫婦とお話すると、キッチンプランは奥さま任せでも、レンジフードだけは意見を出す旦那さんをチラホラ見かけるという話を聞きます。

少しでもお掃除がラクになるように、フィルターにカバーをかけているという方、おられませんか?

実はあまりよい方法とは云えません。吸引力が落ちるし、電気代がかさむし、ガスコンロの事故で火がカバー部分まで燃え移ると危ないからです。

それならばいっそのこと、リフォームの際に掃除のしやすいレンジフードを選んでしまいましょう。私はその点をとにかくオススメしたいです。各メーカーのショールームへ行き、「吸引力があって、かつ一番お掃除のしやすいフードはどれですか?」と訊いてみましょう。それぞれ特色のあるフードが出てくると思います。

■扉カラーは価格帯が違う
いろいろなカラーがあるシステムキッチン。同じプランでも扉カラーの選択次第で、価格は↑↓します。お気をつけ下さい。

■ショールームでの注意/留意点
見積書は一回で終了、変更ナシという方はほとんどおられません。納得するまで10回くらいショールームへ通われる方もおられます。そんなお施主さんを、アドバイザーのお姉さんは(人間としてヒドイ扱いをされない限り)嫌がりませんが、土日のショールームは人がとにかく多いので、なかなか担当のお姉さんと話せないときがあります。それを回避するならば、「×月×日、××時より、担当は××アドバイザーを希望」と、あらかじめ予約を入れてしまいましょう。お気に入り担当のお姉さんを確保できます。

そして、奥さま。

ショールームには必ずスリッパが置いてありますので(置いてないところはショールームとして失格)、キッチンの前に立つ際は、靴を脱いでスリッパに履き替えましょう。高さの確認のためです。今のキッチンは、使用者の身長に合った高さを選べます。高すぎず低すぎない、自分に合った高さを確認して下さい(洗面台も同じように高さが選べます)。

■なにを一番重視したいのかを最初に決める
キッチンはメーカーが多い上、似たような商品ばかり。「もうどこがいいんだか…とほほ」という方――お気持ち、よくわかります。私だって「どこがいいの?」と訊かれると、「う〜ん…ショールームで体感してきて」という云い方をしてしまいますから。

でもここまできたら…ぶっちゃけ「私視点:メーカーの傾向」を書きたいと思います。あくまでも「私の印象」なのでお叱りはご容赦を。

1.手堅いキッチン、機能性重視派向き
クリナップ・サンウェーブ

2.耐久性重視、お掃除ラクラク派
タカラスタンダード

3.お掃除ラクラク、細かな点で気配り希望派
TOTO

4.カラクリが好き、商品は多いのに越したことはない、ブランド力が一番派
松下電工

5.デザイン重視、高級キッチン派
トーヨーキッチン

6.シンプルデザイン重視、でも機能性だって欲しいの派
ヤマハ

あとは…INAX、トステム、日立ハウステックなどなど、いろいろあります。オーダーメイドを得意とする会社については、雑誌などで情報収集してみて下さい。

…以上、こんなところでしょうか?

なにか思い出したら、追記したいと思います。
…というわけで、今日は「水まわりリフォーム 〜バスルーム編〜」を。

■システムユニット?フリースタイル?
組み立て式のシステムユニットバスルームの良い点は、保温性と耐久性が高いという点です。そのため北海道地区の一般住宅の90%以上が、システムユニットバスルームを採用していると云われています。そしてなんと云っても施工の早さ。バスルームはもっとも早く施工に入らなければならない水まわり箇所なのですが、特別な仕様にしない限り、1日ほどで終了します。没個性的な面はあれど、最近はデザイン性の高い商品が増えましたし、オプションも充実しているので、たいへん人気があります。間取りや広さが決まっているせいで、リフォームに適していないと思われがちですが、いまや新築よりリフォームが多い時代、メーカーもどれだけ施主を得られるかという競争状態へ突入、サイズ(間取り)はかなり自由になってきました。

フリースタイルバスルームの良さは、なんと云っても「自分だけの空間演出」ができること。間取り、水洗金具・浴槽・壁の素材などすべて選び放題ですし、自分好みの空間をとことん追求できるという点は、たいへん魅力的だと思います。保温性はユニットより低いですが、たとえば浴室暖房を入れたりなどで対策は可能だと思います。業者さんに相談してみると良いでしょう。ただし、ユニットよりは価格が高くなる可能性があり、また施工に時間もかかりますのでご注意を。

ちなみに決定権は「キッチン→奥さま、バスルーム→旦那さま」というパターンが多いですね。

■浴槽の素材はどれがベスト?
大きく分けると、「いものホーロー・人工大理石・FRP・ステンレス・その他」となります。

いものホーローは頑丈でお掃除はラクだし、見た目は美しく肌触りもいい、高級感に溢れている…と、いいこと尽くめのようですが、価格はやっぱりお高めになります。そしてとにかく重い〜…(←使う分には関係ない話)。

人工大理石はホーローほどではないですが、光沢感があり、落ち着いたダークな色合いを選ぶと高級感が漂います。お掃除は比較的ラクなこともあって、人気が高いです。

FRPはガラス繊維強化樹脂のことで、人工大理石が出るまで一番よく使われてきた素材ではないでしょうか。以前より保温性も高くなってきている上、安価です。ただし、変色しやすいのでお気をつけ下さい。

ステンレスとその他(天然大理石など)は割愛。

■どこのメーカーがいいかしら?
好みなのでなんとも云えないですが、システムユニットバスルームを比較的得意としているのは、やはりTOTOとタカラスタンダードになるでしょうか。前者は浴槽から水洗金具などすべてにおいて種類が豊富だし、品質や考え方などさすが水まわりトップメーカーであると毎回感心させられます。ただし商品がちょっとお高めかな…。後者はホーローで有名な会社であり、ショールームへ行くとアドバイザーのお姉さんがトンカチやバーナーを使って、いかにホーローが丈夫であるか実演してくれます(見ていて面白い♪)。そして「フリーサイズシステムバス」を謳っているように、自由度があるリフォームを得意としています。

■防水性・保温性・耐震性は?
ユニットにしろフリースタイルにしろ、これもメーカーによって違いがあります。ショールームに行ってアドバイザーのお姉さんに訊いたり、施工業者に確認したりするのがべスト。浴槽・壁(パネル・タイル)、床…そのほか見逃されやすいのは、ドアでしょうか。最近はユニバーサルデザインをどこのメーカーも取り入れているので、浴室と脱衣所に段差がないことがほとんどです。ドアに向かって水が流れた場合、ちゃんと水を止めてくれるか、確認しましょう。また中でロックをかけても、脱衣所で解除できるようになっているか要確認です(バスルーム内で人が倒れたときのことを想定して下さい)。

■窓は?
換気したいけど防犯を考えれば「引き違い窓+格子」になる。でもデザイン性がイマイチだし、格子付きはバスルームでの開放感が味わえない。かと云って、はめ殺し窓(開かず窓のこと)は換気性が得られないので困る…という方には、ガラスルーバーという選択もあります。

↓ガラスルーバーってこんなサッシ(トステム公式サイト)
http://www.tostem.co.jp/bldg/mansion/window/general/garasu.htm
(サイズやカラーはいろいろあります。写真はあくまでも一例)

システムユニットバスルームの場合、窓はオプションになるので、同じメーカーのカタログに載っている窓を選択しなければならないということはありません。サッシメーカーの窓を選ぶことも可能ですし、ガラスルーバーでは幅が足りないという方は、サッシ屋さんに相談して、「ガラスルーバー+はめ殺し」窓を作ってもらってもよいと思います(秋林家がまさにそれ。たいへん良いです)。

■給湯機は?
ガス・石油・電気…など熱源タイプをいろいろ選べます。どれを選ぶにしろ、「冷水サンドイッチ現象」(シャワーを一度止めた後、再びお湯を出すとシャワーが熱くなったり、冷たくなったりする現象のこと)を抑える給湯機をオススメしたいです。

↓おしえてアシカちゃん(TOTO公式サイト)
http://www.toto.co.jp/tips/2001/01/20.htm
(冷水サンドイッチ現象の説明です)

また最近、オール電化の家が話題になっています。その場合、夜間電力を使った貯湯式タイプをすすめられると思うので、業者さんにどこのメーカーがいいか、相談してみましょう。

機能をどこまで求めるか――これは必要な分だけに留めておいたほうがよいかと。出費を抑えた分をほかのオプション費用に回せますから。

■後付け・再リフォームを考える
いまは必要がなくとも、たとえば手すりを追加したいと思うときが来るかもしれません。後付けが可能かどうか、システムバスルームならメーカーに、フリースタイルバスルームなら施工業者に確認してみましょう。ちなみに某メーカーは、後付けができなかったんですけど…いまはどうかな?

■バスルーム内に換気乾燥暖房機は必要かしら?
あると便利ですね。ただ「換気・乾燥・暖房」の3機能をどこまで求めるかは、お好みや家族構成、地域性によると思います。寒冷地在住の方、ご高齢の方がおられるご家庭の場合、暖房機能はあったほうがよいと思います。北陸など、たいへん湿気の多いどんより率が日本一な地方は、暖房と換気は必要でも、乾燥機能となると…ほかの地域より電力がかかる可能性が高いので、お気をつけ下さい。

個人的には、バスルーム内よりも脱衣所(洗面所)に、暖房をおけるスペースがあるかが気になります。

■なんか面白いオプションってな〜い?
う〜ん…たとえば、バスルーム内の鏡。顔や体を確認したいのに、すぐ曇るから困っちゃう――でも一度お湯をかけると、しばらく曇らないという便利な鏡があります。

↓ハイドロミラー(TOTO公式サイト)
http://www.toto.co.jp/press/1999/07/29.htm
(これ便利。ほかのメーカーもあったかな?)

ノズルから酸素の泡が出て、白い湯のお風呂になるという浴槽も面白いですね。

↓ぽっかぽか美泡湯(松下電工公式サイト)
http://national.jp/sumai/bathroom/i-u/system/02.html

浴槽を電動で磨いてくれる「電動みがき機」とか。

↓「みがい太郎」(楽天サイト)
http://www.rakuten.co.jp/citygas/504448/505304/
(松下製。でも充電に12時間かかるってのはちょっとなあ…)

…などなど、松下とTOTOは面白い商品をよく出してます。

■ショールームをとことん利用する
何度でも通って吟味して下さい。ショールームのお姉さんがどれほど考えてくれるかもポイントのひとつ。似たようなレベルの商品ならば、信頼のおける提案者がいいでしょう(喜びが違うんですよね)。

…以上、こんなところでしょうか?

なにか思い出したら、追記したいと思います。
唐突ですけども、水まわりリフォームの話をば。

ただし、昔取った杵柄となるかは(かなり)微妙なので、あくまでも参考程度でよろぴく♪…なのです。逃げ道を作る云い方ですみません。

■まずはトイレの話
最近、多機能なトイレがいろいろ出ています。各住宅機器メーカーのショールームに行くと、アドバイザーがいろいろとオススメしてくれますが、個人的に押さえておいたほうがいいかな、こういう面も見ておいたほうがいいかも…という点を、いくつか書きたいと思います。

■TOTO?INAX?
好みやご予算の問題があるので、「こっちがいいの!」と云い切ることはできませんが、同じ衛生陶器メーカーでも違いはあります。洗浄方式?ウォシュレット性能?…いえ、それよりもまずTOTOで優れている点は、なんと云っても「セフィオンテクト技術」。

♯「セフィオンテクト技術」とは?(公式サイトより引用)
新開発の釉薬で陶器やホーローの表面を100万分の1mm単位でつるつるにし、そのうえ表層にイオンバリアを作り上げます。これによる防汚効果は長期間持続します。この技術を便器や浴槽、洗面ボウルなどにとりいれたのが「セフィオンテクト」商品です。

意外と知られてない「セフィオンテクト」。現在リリースされているTOTOのトイレは、一部商品を除き、ほぼすべてこの加工がされています(タンク部などに「セフィオンテクト」シールが貼られている)。これね…ホントーに汚れがつきにくいんですよ。「トイレにセボン」などを使う必要がない、使うと逆にセフィオンテクト効果が得られにくいんじゃないでしょうか?

対してINAXが得意なのは、ロータンク/ノータンク商品です。

タンク部分が低い/タンクがないトイレは、空間が広く感じられ、なおかつ高級感があります。もともとお値段が高い商品だったので、一般住宅にはあまり普及しなかったのですが、INAXが低価格帯のシリーズを出したことにより、ちょっとした人気商品となりました。

タンク部分が低いタイプは、どうしても流す水の勢いが足りず、通常のハイタンク式よりも水量が多くなってしまうという欠点があったのですが、最近の商品はハイタンクとさほど変わらない節水タイプになっています。なので、空間を広く取りたい方は一考の価値があるかと思います。ただし、選ぶ際はトイレ筐体の強度をショールームで確かめておいたほうが良いでしょう。

トイレは以上の2メーカーを押さえておけば大丈夫。ナショナルもトイレを出してはいますが、便座…とゆーかウォシュレット(ビューティ・トワレ)や周辺機器(?)が自社製なだけ、肝心の衛生陶器の部分はINAX製(だったはず)なので、私の眼中にはないメーカーです(ごめんなさい)。

■どこまで機能を求めるべき?
多機能・高機能のトイレがいっぱいあるので、悩みますよね。
着目したほうがよいかなと思う点は、以下の通り。

1.流し忘れにご注意を
便器から離れたら自動的に洗浄――まあ、なんてラクチンなのかしら♪…と思いがちです。ただし、そういった自動洗浄トイレに慣れてしまうと、たとえば小さなお子さんが自宅外でトイレに入った場合、流し忘れをする可能性があります。高齢者や介護の必要な方がおられる家庭でないならば、私は自動洗浄はとくに必要ないと思います。

2.手洗い器は自動止水がよいかも
もし余裕があるならば、衛生的かつ節水ということで、水洗金具は自動止水タイプのほうがよいかもしれません。また止水忘れ防止になります。

3.ウォシュレット(シャワー・トイレ)は、やっぱり欲しい
ウォシュレットには大きくわけて2種類あります。お湯を貯めておくタンク式と、瞬間湯沸かしタイプです。前者はタンクがあるためにお掃除がしにくく、常に保温しなければならないので電力を余計に使わなければなりませんが、お湯をたっぶり使って洗えるという利点があります。後者は、節電できるしお掃除もラク、さらに節水可能なタイプ(TOTOで云うならアプリコットシリーズ)があるのでお得です。ただお値段が少々高めになります。どちらを選ぶかはお好みで。ちなみに私ならアプリコットシリーズを選択するでしょう。

4.一体型と分離型、セット商品――どれがよい?
便器とタンクが一緒になっている一体型は、非常にスッキリしていますし、お掃除が比較的ラクです。そして、スペースを大きく取れない方、トイレ横にある電源などのコード類を多くしたくない方にオススメです。ただしタンク部が陶器でない商品は、掃除がラクうんぬんの前に、その部分が汚れやすくなるかもしれないことをお忘れなく。

一般的な分離型は、いまはさほど機能がいらないけど将来は多機能便座(ウォシュレット)にしたいの、あんまり予算がないのね…という方に向いているかと。ただし、コード類が多くなりがちなため、便器横をゴチャゴチャにしたくない人には不向き。そして将来のことを考えて…と云っても、一体型やセット商品だって便座を変更できないことはありません。ただ、リフォームしやすいさでは分離型に軍配が上るかも。

セット商品とは、トイレ本体のほかに収納スペースなどすべてセットになっている商品のこと。トイレに必要なものをお手ごろ価格ですべて揃えることができますし、収納スペースの確保がしっかりできます。そしてなによりたいへん経済的です。ただしデザインが限定されるので、個性を求める人、気に入ったデザインがないと感じる人には不向き。

以上、どのタイプが適しているか――ご家族でご相談を。

■後付け・再リフォームを考える
老朽化により流れが悪くなった、便座が壊れた、新型ウォシュレットを付けたい、手すりを追加したい、収納スペースをもっと広くしたい、暖房器具を置きたい――などなど、数年後にどれだけ後付け・再リフォームできるか、メーカーや施工会社に訊いてみることをオススメします。トイレに限らず、水まわりはどうしてもリフォームが必要になりますので。

■外国製はどう?
「機能を求めるなら日本メーカー、デザイン重視なら舶来メーカー」でしょう。昨年、かのマドンナ姉さんが来日時に「日本の暖かい便座が恋しかったわ」と発言したことが、すべてを物語っているかと。

■その他
「タンクの中に水を入れたペットボトルを入れておくと節水になる」…という話をちらほら聞きますが、洗浄能力の低下→二度流す→節水効果は得られない、となるのでやめたほうがよいかと。現在のトイレは昔に比べると節水になってますので、通常通りに使用すればよいでしょう。

…以上、こんなところでしょうか?

なにか思い出したら、追記したいと思います。

文章様式

2005年9月27日 エッセイ
←そっか〜、こんな本が出てるんですね(>キリカさん)。
たぶん私が手にすることはないでしょうが、世の中にはブログ指南書なんてものがあるんだ〜…ふ〜ん。

ちなみに、私が文章を書く際に気になるのは、内容より文体。

自覚してますが、私はヘタクソです。もうイヤになります。
助詞の使い方がなってない!(my弱点)

気にしている点をいくつかを書くと――

■読点(「、」)を適度に打つ

私はとにかくこれがヘタ。読点の付け直しのために、何度も手直しするくらい。読点は少ないと読みづらいし、多いとリズムが崩れる。基本的に男性の書く文章って、読点が少ないと思う…ってことはなんですか、私の文章は男っぽいってこと?…むむむむ。

■できるだけ漢字を「ひらく」(ひらがな化する)

「無い」「有る」→「ない」「ある」
「程」→「ほど」
「方」→「ほう」(「方」は「かた」と読むときに使う)
「幼馴染」→「幼なじみ」

某雑誌に投稿していた頃(小学6年〜中学2年まで)、編集者とライターの方の目にとまり、しばらく「書き方指南」を受けたことがありまして、その際にしつこく云われたのが――この「ひらく」。いまだに気になって仕方がないです。自分が書く上でね。

■ムリな接続詞は使わない

文頭にムリヤリ接続詞を入れたとわかる文章は、リズムを崩すから。

■字面を意識する

「想い出」ではなく、「思い出」を使う。
(「想い出」は、甘ったるいから。性に合わない。どうしても「想」を使うなら、「想ひ出」にする)

「言う」ではなく、「云う」を使う。
(「言う」は、画数が多くて重いから)

…など。

■マイルド化させるために「カナ」を利用する

「苦手」→「ニガテ」、「嫌い」→「キライ」、「馬鹿」→「バカ」、「ない」→「ナイ」(ただし、「ある」を「アル」と書くことはしないけど)

…など。

よって、私が「嫌い」と書いたら、それは「憎む」に近いと思われます。

ほかにもありますが、とくに気にしているのは――う〜ん…この5つかなあ…。
仲良しのMちゃん(豪州人)と飲みに行ってきた。

なにか話があるんだろうと思っていたら、案の定、お店に入って席につくなり、「いつも秋林と一緒にいるあの素敵な日本人男性を紹介して欲しい。彼がもしフリーなら近づきたい」と切り出された。

困ったなあ、どうしよう…と思いながら、私は「明日まで待って」と即答を避けた。

Mちゃんが一目ぼれした日本人男性とは、私の長年の親友であり、このブログでもよく出てくる友人Fのことだ。彼は一般人にしておくにはもったいない、たいへんな美貌を持つ男で、背は高く190cmあるし、男性らしい美しくシャープな顔立ちをしているし、体には綺麗でムダのない筋肉がついてるし、頭は良く理知的で、その声も素敵だ。誰もが彼をハンサムだと云うだろう。

がしかし。
彼は女性を恋愛対象と見なさない人種――ゲイなのである。

「彼に紹介して欲しい」と云われたことは過去に何度もある。だがその目的が恋愛だと判明した場合、私はいつも即答を避けた。正直に「彼はゲイだからムリ」と云えばいい話だとしても、ここは日本である。彼の断りもなく、簡単に「ゲイだ」と云うわけにはいかない。

そして今日、Fにその件を伝えると「Mちゃんなら(云って)いいよ。彼女ならわかってくれるさ」と返答があったので、Mちゃん宅へ行った際に真実を告げた。彼女は納得し、そしてこう話してくれた。

「ゲイの男性が魅力的に見えるのは、女を性的な目で見ないからよね」

…ごもっとも。
至極同感せり。

そういえば、昔読んだ「ニューヨーク・ニューヨーク」という漫画で、同じようなセリフを女性キャラが話していたっけ。私はあの漫画の女性、そしてMちゃんのボヤキがよくわかる。

目は口ほどにものを云う。
視線に酔う女もいるだろうが、ゲンナリする女だっている。

あ〜あ、本当にウンザリなのよ――もう、放っておいてちょうだい!
「エンジェルス・イン・アメリカ」第1〜2話、面白かったです。
俳優陣がみな上手すぎて、それがちと怖かったですけど。

ドラマや映画、小説、マンガにおいて、ゲイという設定のキャラクターが出てくることは、今の時代、もはや珍しいことではなくなりました。がしかし、彼らの多くはキワモノ/イロモノとして描かれていることが多く、ごく普通の人物として重要なポジションで登場してきた作品を挙げようとすると、すぐにはなかなか出てきません。

そうだな…映画だったらジェニファ・アニストン主演の「私の愛情の対象」ですか。ジェニファがゲイの男性に恋をしてしまい、実らないとわかっていてもどんどん好きになっていく…というせつない筋書きの映画でして、ジェニファの片思い相手であるジョージが、ごく普通の人として描かれていたため、私はおそろしくリアルに感じました。

あとはラッシー主演の「人生は上々だ」か。あのラッシー(ラッセル・クロウ)がゲイ役なので、ビックリしちゃう人は多いでしょう。そんなラッシー演じるジェフのセリフに、「ゲイばかりの土地はイヤだ。女や老人、子供だっていないと」というのがあって、これを聞いたときはじ〜んとしてしまいましたよ。

マンガだったら「ニューヨーク・ニューヨーク」(羅川真里茂)かな。これを読んだときは、「リアルかつ一般的なゲイが主人公」のマンガが、とうとう日本のメジャーな少女マンガ誌に出てきたかと驚きました。日本には以前からボーイズラブというジャンルがあります。でもそれらに求められてるのは、リアルというよりは夢――ある意味SFでパラレルな世界であり、その中で「ニューヨーク〜」は、リアルなゲイでドリームを描くことに初めて成功した金字塔的作品だったと、私は思っています。

主人公ふたりはごく普通の青年で、第1巻だったかな、ある女の子が主人公に向かって「あなたゲイなの?なんてもったいない!…ゲイが素敵に思えるのは、女性を性的な目で見ないからなのよね」(うろ覚え)というセリフに、激しく同感。

そんなことを思い出しながら、「エンジェルス・イン・アメリカ」を観てまして――あのアル・パチーノがあんな普通のゲイ役を演じるなんてなあ…また金字塔作品に出会ったのかと思っちまいましたよ。

ごく普通と云っても自分勝手な黒幕弁護士で、キョーレツな個性を放ってる役なわけですが、女嫌いの男狂い、あるいはキワモノ/イロモノとして描かれていないので(今のところ)、私にはゲイとして普通に見えます。結婚した後にゲイと自覚したジョーも、普通の人だったし…う〜むリアルだったなあ。

こんなリアルなゲイが主人公のドラマって、米国でもあまりないみたいだから、日本のTVドラマではまだまだ先の話なんでしょうね…。

追記:
ちなみに小説では、「硝子の街にて」シリーズのロッドですね<私が普通の人として描写されてるなと思うゲイ

About Her 3

2004年11月26日 エッセイ
数年後、仕事に追われ休みのない状態だった私に、一本の電話が入った。

クタクタに疲れて帰り、ひと息ついたところに、母から「***さんから電話よ」という呼び出し。なんで今ごろになって彼女からの連絡が?と思いつつ、受話器を耳に当てた。

「秋林、久しぶり〜♪…あのね、元気かな〜と思って…。なんだか忙しそうだし…」

そんな場当たり的な電話をかけてくるような人ではない。なにか聞いてもらいたいことがあるに違いない。そう察した私は、疲れているだけにさっさと用件を済ませてもらうと、声を聞いておおよその見当がついたこともあり、こう切り出した。

「うん、とっても忙しいよ。…で、なに?結婚でもするの?」

「うん♪」

ここで「おめでとう」と云って切ってしまいたかったが、なんだかまだ聞いて欲しそうな彼女のそぶりが電話を通して感じられ、またおめでたいことでもあるため、とりあえず角が立たないよう当たり障りのないことを尋ねてみた。

「おめでとう。相手はどんな人?」

すると彼女は――

「男の人♪」

この回答を聞いた瞬間、彼女に対する積年の思いが噴出、憤怒の河を一気に渉った私は、「ふ〜ん、よかったね♪」と答え、それ以上訊くことはしなかった。だがそれでもまだ喋り続けようとする彼女は、「忙しいと思うけど、結婚式出てもらえたらって…」と云ってくる。疲れてるときに彼女の甲高い甘ったるい声は、ただただ耳につらい。うんざりし「わからないわ。でもとにかくおめでとう。じゃ!」と電話を切ってしまった。

結局、彼女から招待状は来なかった。
現在も連絡は取り合っていない。
たぶん、幸せに暮らしているのだろう。

なんで合わない彼女と「友達風な付き合い」を長々としてしまったのか。実は彼女と興味の対象がいつもまったく違ってたわけではなく、その対象が同じだったときは電話をよくかけ合ったりした。ただ会うとなると話は別で、彼女と一緒にいるとストレスでおかしくなりそう、早くその場から逃げ出したくてたまらない自分がいた。彼女の話は、私にとって面白くない/興味のないものばっかりだったが、ほかにもそんな話をする人は数多くいる。「話がつまらないから、興味がないから」という理由で人をバッサリ斬るなんてこと、自分は基本的にしないタイプのはずだ。でもなんで彼女に付き合ったんだろう?

それはたぶん――だれも彼女の相手をしないんじゃないか、だったら可哀想だなという彼女への哀れみを含んだ気持ち、またもしかしたらいつか親友となるときが来るかもしれないという思いが、私の心の中のどこかにあり、多少なりとも期待をしてしまったからだろう。そして、私がとことんチャレンジャー気質だったからだろう。

なにげない彼女の言葉で傷ついたことが何度もあった。でもこれだけすべてが合わない以上、私も同じように、彼女を何気ない言葉で傷つけていたはずだ。その点に関してはお互い様であり、謝るつもりはない。彼女だって、自分のブログやサイトで私のことを書いているかもしれない。でももし、そこに私の悪口が書かれてあったとしても、私は流して読むことができるだろう。彼女がどんな人間であるかわかっているから。自分をつらくしてまで無理をする必要はないから。そして相手にはもうしないから。

いまでもたまに、彼女を思い出すことがある。

彼女と「お友達付き合い」をしている人は――いったいどんな思いをしているのだろう?

About Her 2

2004年11月25日 エッセイ
相変わらず内容のない手紙が、次から次へと届く。

それでも、彼女が3通書いたなら私は1通書くというペースを保っていた。私の目にはもはやただの記号としか映らない便箋上の文字――心のない文章を書くことがこれほどつらいものとは。彼女に対し、心の中では「文通やめようよ」と云えるのに、現実ではなかなか云えない。…困り果ててしまった。

そんなある日、いつものように届いた手紙を読み――そのまま硬直した。

「観光したいから家に5日ほど泊めて欲しい」

どう断ろうかと悩んだが、もしかしたら意外といい人でなにげに気が合うかもしれないと、断れない上にポジティブシンキングな私は、万に一つかもしれない可能性に賭け、OKの返事を送り、数日後には彼女を家に泊めていた。

その5日間は地獄となった。

つまらない、興味のない話がつらかったのではない。彼女の「気遣いのズレ」と「図々しさ」と「よくわからない無邪気さ」に辟易し、心底疲れてしまったからだ。図々しいだけの人ならイラつくぐらいで済むが、中途半端な配慮をする――つまり、ある程度気遣いというものを知ってる――人が、よくわからない無邪気さも以って振舞ってくるほど、相手をしていてつらいものはない。

地獄の一丁目を通過中の3日目、彼女がお風呂に入っている間、私はとうとう学校の友人に電話をかけた。誰かの声を聞きたくて、話を聞いてもらいたくて仕方がなかったからだ。この数分間がなかったら、私はキレていたかもしれない。

5日後、彼女が帰った。
玄関でドアを閉めたとき、涙が出て止まらなかった。

彼女はその後も「泊めてくれ、観光をしたい」と云ってきた。いろいろ言い訳をつけて数回断ったが1回だけ断れず、また同じような地獄を味わった。

それにしても数々のウソくさい言い訳に、なぜ彼女は気付かないんだろう?…いや、彼女はバカじゃない。気付いてるはずだし、私の態度はかなりつっけんどんだし、ろくに返事も書かないし、考え方も好みも生き方も違うとお互い感じてるはずだ。

彼女はなぜ――私に執着するのだろう?
もしかしたら、本人が云うほど友人が少ないんじゃないだろうか?

それから数年後。
とりあえず付き合いが続いていた彼女に誘われ、なぜか彼女の妹さんの家に泊まることになった。

妹さんが迎えに来るまでの時間、駅内の喫茶店で私たちはお茶を飲んでいた。自分たちの席は禁煙席だったが、すぐ隣のテーブルは喫煙席だったため、隣から遠慮のない煙がやってくる。彼女は「もう!やんなっちゃう!煙ってサイテーよね!」と、よく通る高くて大きな声で云いながら、手を団扇のようにして煙を避けた。以前一緒に道を歩いていたとき、「イヤね、歩き煙草って!」と、煙草を吸いながら歩いている人に向かって大きな声で云い、私をハラハラさせた彼女。この人は本当に煙草が嫌いなんだと思ったが、まさかこれほど嫌いだったとは。私は煙草を吸わないし、正直云うと好きではない。だが、喫煙席に座ってる人を非難する気はない。そこで煙草を吸う権利が、その人にはあるからだ。

さらに彼女は出てきた紅茶に文句を云った。つくづく文句の多い人だと思いながら店を出、待ち合わせの場所へ行き、妹さんを待った。数分後、車で迎えに来てくれた妹さんは彼女ソックリで、もしかして性格も同じなのかと私をゾっとさせた。だが話してみると、非常にサッパリとした人で、私と気が合うタイプだった。挨拶もそこそこに私たちを乗せ、車を発進させた妹さんは、しばらくして煙草を吸い始めた。すると彼女は「ちゃんと煙草を吸うって、秋林に云いなさいよ!」と怒り出した。私に配慮して窓を開けてたし、なにもそこまで怒らなくたっていいのに…と思いつつ、あらためて許可を求めた妹さんに対し「あ、いいですよ、構いません」と返事をした。

数分後、妹さんの家についた。
部屋に煙草と灰皿が置いてあり、それを見た彼女は「あ〜、私も1本吸おうっと!」と云い、煙草を吸い始めた。その言葉と行動がすぐには信じられず、「え?煙草吸うの?」と訊くと、返事は「うん♪」。他人の煙がイヤで、マナーに厳しい人だったのかもしれないが、私には彼女のそういった「気遣いのズレ」と「図々しさ」、さらに「よくわからない無邪気さ」が、どうしてもイヤでたまらなかった。

彼女がシャワーを浴びているとき、私は意を決して妹さんに「あのね、私…あなたのお姉さんといるのがつらいの。肉親として、いつもどうやってお姉さんと付き合ってるの?」と訊いてみた。すると妹さんは――「秋林さん、大変だと思う。もし妹じゃなかったら、お姉ちゃんの相手なんかしてないもん。お姉ちゃん、友達少ないし…ゴメンなさいね秋林さん、付きあわせちゃって。でも、お姉ちゃんって秋林さんのことを友達である同時にライバルだと思ってるみたい」。

――ライバル!?
なぜライバル?私は毛頭思ってないのに。

考えてみれば、彼女の話は「私ってこんな人」「みんな私のマネしちゃってイヤになる」な話が多く――ただの自慢かと思っていたそれらは、「私ってこんなにスゴイのよ」という彼女なりの私への牽制球のつもりだったということか。「私って、ハイレベルな友人しか持ちたくないしぃ」と云われたときは心底呆れたが、私がそれを羨ましいと思うとでも?…なんだか急に彼女が気の毒になってしまった。

そしてその後、彼女との付き合いはようやく疎遠になった。

さらに続く。

About Her

2004年11月23日 エッセイ
もうかれこれ10年近く、連絡の途絶えてる友人……らしき人がいる。

高校時代に知り合った彼女とは、なんでも話し合える親友というわけではなく、それどころか手紙を通してのお付き合い――つまり、実際に会ったことのない文通相手、それも向こうから「文通して下さい」と云われなければ、成り立つことはなかった付き合いだった。当時の私は、人からの頼みになかなかNOとは云えない女子高生で、そんな風に頼まれればやはりどうしても断ることができず、「いいですよ」と返事をしてしまった――それがこの後何年も続くこととなる苦行の始まりとは思いもせずに。

たとえ遠くに離れていても相手は同い年の女の子、なにかしら盛り上がる話はあるだろうと、筆不精な手でペンを持ち、彼女宛の手紙なるものを数通したためてみた。がしかし、たいへん筆まめで、何枚も何通も書いてくる彼女からの手紙は、そのどれもこれもが私の興味をまったくそそらない、つまらない自慢話が書き連ねてあり、次第に私にとって見るのも読むのも苦痛な、封筒に包まれてやってくるストレス爆弾となってしまった。

そんな手紙にどう返事を書けと?…仕方がないので、彼女の興味がありそうな話を書いてみた。だが返事はそれにあまり触れられてはおらず、学校であったこと、友達が自分をどう見ているかということ、好きなマンガ(=私がまったく読まないマンガ)の話が延々と書かれていた。なんでこんなことを何枚も書けるのだろう?――もうウンザリだった。

1年後、卒業が間近となった。縁を切る最大のチャンス到来である。私はそのまま返事を書かずに、県外の大学へと進むため引越しをしようとした――が、バカな私は彼女のリクエストに答え、新住所を教えてしまった。「後悔先立たず」とはまさにこのこと、大学へ進学した後も、彼女からの手紙を受け取ることになってしまったのである。

明日に続く。

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