「10ミニッツ・オールダー イデアの森」
2004年4月11日
近所のミニシアターで「10ミニッツ・オールダー イデアの森」を観に行ってきました。
映画だろうと小説だろうと、面白い短編(ショートショート)がひっじょ〜に好きなので、我ながらマニアックな映画を観に行くもんだと思いつつ、とりあえず各作品をチェックしてきました。
■「10ミニッツ・オールダー イデアの森」Ten Minutes Older: The Cello(2002・英/独/西班/和蘭/芬蘭/中)
IMDb→http://us.imdb.com/title/tt0318742/
日本公式サイト→http://www.10minutesolder.com/
監督:ベルナルド・ベルトルッチ、マイク・フィギス、イジー・メンツェル、イシュトヴァン・サボー、クレール・ドゥニ、フォルカー・シュレンドルフ、マイケル・ラドフォード、ジャン・リュック・ゴダール
ストーリー:
「時間をめぐる哲学」「人間と時間のかかわりとその謎」について、8人の監督がそれぞれ上映時間10分で表現する短編映画集。
「意識概念の森」だの「時間をめぐる哲学」だの――そんなことエンタテイメントの森の住人である私に云われてもねえ(なら観に行くなと云われそーだ…ごもっとも)。ゴダールたらベルトルッチたら、個人的にニガテな監督が多い「イデアの森」のほうは、やっぱりと云うか、私には手強くてシンドイ内容が多かったっス。
1.「水の寓話」Histoire d’eaux ベルナルド・ベルトルッチ
ストーリー:母国から逃げてきたひとりの青年。彼はイタリアのある田舎で水を求める老人に出会う。だが水を探し求めるうちにひとりの女性と出会い、恋に落ち、家庭を持つ。そして幸せな日々が続くが――
短編映画になるとやたらモノクロ映像と出会うもんですが、これはセピア映像。おかげで寓話らしさや優しい雰囲気がよく出ていて、いちげんさんでもとっつきやすい感じ。上手くまとめられていて、及第点は軽〜くクリアしている…とゆーか、ショートフィルムのお手本みたいな作品。
2.「時代×4」About Time 2 マイク・フィギス
ストーリー:廊下で繋がっているが時間軸は別である4つの部屋。画面が4分割され、それぞれの時間軸のもと、それぞれの画面で発生する出来事をひとりの男性を通して描かれる――。
この4分割画面に見覚えあるぞ…と記憶を辿ってみれば、CATVの映画チャンネル(WOWOWではない…忘れた)で観た、「タイムコード」と同じ手法……あ、そういえば監督が同じフィギスやんけ!…と分かった時点で、私の中では終わってしまった作品。10分ワンカット、お疲れさまです。でもいまさらこんなの見せられてもね。長編「リービング・ラスベガス」は素晴らしかったのに。
3.「老優の一瞬」One Moment イジー・メンツェル
ストーリー:チェコの名優ルドルフ・フルシンスキーの俳優人生を、10分に凝縮したコラージュ・フィルム。
フルシンスキーは94年に亡くなっているそう。日本でいうと「笠智衆の一瞬」って感じか。もちっと知名度のある俳優だと思い入れが出たのかもしれない…けど、逆に知られてない俳優だからこそ、普遍的な「時間の流れ」を感じられたのかも。
4.「10分後」Ten Minutes After イシュトヴァン・サボー
ストーリー:夫の帰りを待つ、ごく普通の女性。だが夫は泥酔状態で帰宅、彼女の云うことを聞こうとしない。そして夫は次第に暴れ出してしまい――。
凡作過ぎて、ありがちなショートフィルムだという印象が残っただけ。
5.「ジャン=リュック・ナンシーとの対話」Vers Nancy クレール・ドゥニ
ストーリー:列車の中で、哲学者ジャン=リュック・ナンシーと若い女性アナが会話している。
こんなの見せられてもね…。フランス人論なんてフランス人以上に興味ないし。
6.「掲示されし者」The Enlightenment フォルカー・シュレンドルフ
ストーリー:キャンプ地にいるさまざまな人々。パーティを催したある家族は、妊娠した娘と再会し、ボーイフレンドを紹介される。父と母はどう対応するのか。そしてパーティの客は――。
「10分後」と同じ。哲学なテーマにオチを求めてはいけないってことか。8本中、1番タイトル負けな作品。
7.「星に魅せられて」Addicted to the Stars マイケル・ラドフォード
ストーリー:宇宙飛行士セシルは、80光年の旅を終えて地球に戻ってきた。肉体の老化は10分のみ。だが地球では長い時が流れ、すっかり変わっていた。そして、セシルはある人物に会うために出かけるが――。
面白い!素晴らしい!…まるで上出来のSFショートショートを読んでるかのよう。こんなショート・フィルムを観たかったのよ!解説書がないと、なにを云いたいのかまったくわからない、良く云えば現代美術、悪く云えば監督の自家発電になりがちなショート・フィルムで、さらに哲学的なお題まで課されているとゆーのに、本作はそのお題を軽くクリアした上に、観る側を意識した作りになってる(それが感じられたのは、あとベルトルッチの「水の寓話」ぐらい)。もしこれが長編映画だったら、セシルが会う人物は誰なのか見当がつくもの。だけど、10分勝負の短編映画は、そんな見当をする余裕なんて観客には与えてくれない。そしてそれがわかった瞬間、一気にせつなさが伝わってくる…。SFの面白さ、ショート・フィルムの面白さ…そして10分の重みと長さをズシリと感じた作品。
8.「時間の闇の中で」Dans le noir du temps ジャン・リュック・ゴダール
ストーリー:ゴダール作品、往年の映画、歴史映像などをコラージュ化し、「時間の闇=映画」こそが「永遠」というメッセージを残した作品。
あ〜〜〜〜〜〜〜………。
私にゴダールは語れないので、感想もなにもないんです……が、さすがコラージュの大御所なだけあって、なんだか夢に出てきそうな映像でございました。理解できないからつまんないとは云わないけど、しょせん私はエンタテイメントの森の住人。でもゴダールって、フランス語じゃなくて宇宙語を喋ってそうだよニャ〜…。
以上、「イデアの森」の感想でした。
映画だろうと小説だろうと、面白い短編(ショートショート)がひっじょ〜に好きなので、我ながらマニアックな映画を観に行くもんだと思いつつ、とりあえず各作品をチェックしてきました。
■「10ミニッツ・オールダー イデアの森」Ten Minutes Older: The Cello(2002・英/独/西班/和蘭/芬蘭/中)
IMDb→http://us.imdb.com/title/tt0318742/
日本公式サイト→http://www.10minutesolder.com/
監督:ベルナルド・ベルトルッチ、マイク・フィギス、イジー・メンツェル、イシュトヴァン・サボー、クレール・ドゥニ、フォルカー・シュレンドルフ、マイケル・ラドフォード、ジャン・リュック・ゴダール
ストーリー:
「時間をめぐる哲学」「人間と時間のかかわりとその謎」について、8人の監督がそれぞれ上映時間10分で表現する短編映画集。
「意識概念の森」だの「時間をめぐる哲学」だの――そんなことエンタテイメントの森の住人である私に云われてもねえ(なら観に行くなと云われそーだ…ごもっとも)。ゴダールたらベルトルッチたら、個人的にニガテな監督が多い「イデアの森」のほうは、やっぱりと云うか、私には手強くてシンドイ内容が多かったっス。
1.「水の寓話」Histoire d’eaux ベルナルド・ベルトルッチ
ストーリー:母国から逃げてきたひとりの青年。彼はイタリアのある田舎で水を求める老人に出会う。だが水を探し求めるうちにひとりの女性と出会い、恋に落ち、家庭を持つ。そして幸せな日々が続くが――
短編映画になるとやたらモノクロ映像と出会うもんですが、これはセピア映像。おかげで寓話らしさや優しい雰囲気がよく出ていて、いちげんさんでもとっつきやすい感じ。上手くまとめられていて、及第点は軽〜くクリアしている…とゆーか、ショートフィルムのお手本みたいな作品。
2.「時代×4」About Time 2 マイク・フィギス
ストーリー:廊下で繋がっているが時間軸は別である4つの部屋。画面が4分割され、それぞれの時間軸のもと、それぞれの画面で発生する出来事をひとりの男性を通して描かれる――。
この4分割画面に見覚えあるぞ…と記憶を辿ってみれば、CATVの映画チャンネル(WOWOWではない…忘れた)で観た、「タイムコード」と同じ手法……あ、そういえば監督が同じフィギスやんけ!…と分かった時点で、私の中では終わってしまった作品。10分ワンカット、お疲れさまです。でもいまさらこんなの見せられてもね。長編「リービング・ラスベガス」は素晴らしかったのに。
3.「老優の一瞬」One Moment イジー・メンツェル
ストーリー:チェコの名優ルドルフ・フルシンスキーの俳優人生を、10分に凝縮したコラージュ・フィルム。
フルシンスキーは94年に亡くなっているそう。日本でいうと「笠智衆の一瞬」って感じか。もちっと知名度のある俳優だと思い入れが出たのかもしれない…けど、逆に知られてない俳優だからこそ、普遍的な「時間の流れ」を感じられたのかも。
4.「10分後」Ten Minutes After イシュトヴァン・サボー
ストーリー:夫の帰りを待つ、ごく普通の女性。だが夫は泥酔状態で帰宅、彼女の云うことを聞こうとしない。そして夫は次第に暴れ出してしまい――。
凡作過ぎて、ありがちなショートフィルムだという印象が残っただけ。
5.「ジャン=リュック・ナンシーとの対話」Vers Nancy クレール・ドゥニ
ストーリー:列車の中で、哲学者ジャン=リュック・ナンシーと若い女性アナが会話している。
こんなの見せられてもね…。フランス人論なんてフランス人以上に興味ないし。
6.「掲示されし者」The Enlightenment フォルカー・シュレンドルフ
ストーリー:キャンプ地にいるさまざまな人々。パーティを催したある家族は、妊娠した娘と再会し、ボーイフレンドを紹介される。父と母はどう対応するのか。そしてパーティの客は――。
「10分後」と同じ。哲学なテーマにオチを求めてはいけないってことか。8本中、1番タイトル負けな作品。
7.「星に魅せられて」Addicted to the Stars マイケル・ラドフォード
ストーリー:宇宙飛行士セシルは、80光年の旅を終えて地球に戻ってきた。肉体の老化は10分のみ。だが地球では長い時が流れ、すっかり変わっていた。そして、セシルはある人物に会うために出かけるが――。
面白い!素晴らしい!…まるで上出来のSFショートショートを読んでるかのよう。こんなショート・フィルムを観たかったのよ!解説書がないと、なにを云いたいのかまったくわからない、良く云えば現代美術、悪く云えば監督の自家発電になりがちなショート・フィルムで、さらに哲学的なお題まで課されているとゆーのに、本作はそのお題を軽くクリアした上に、観る側を意識した作りになってる(それが感じられたのは、あとベルトルッチの「水の寓話」ぐらい)。もしこれが長編映画だったら、セシルが会う人物は誰なのか見当がつくもの。だけど、10分勝負の短編映画は、そんな見当をする余裕なんて観客には与えてくれない。そしてそれがわかった瞬間、一気にせつなさが伝わってくる…。SFの面白さ、ショート・フィルムの面白さ…そして10分の重みと長さをズシリと感じた作品。
8.「時間の闇の中で」Dans le noir du temps ジャン・リュック・ゴダール
ストーリー:ゴダール作品、往年の映画、歴史映像などをコラージュ化し、「時間の闇=映画」こそが「永遠」というメッセージを残した作品。
あ〜〜〜〜〜〜〜………。
私にゴダールは語れないので、感想もなにもないんです……が、さすがコラージュの大御所なだけあって、なんだか夢に出てきそうな映像でございました。理解できないからつまんないとは云わないけど、しょせん私はエンタテイメントの森の住人。でもゴダールって、フランス語じゃなくて宇宙語を喋ってそうだよニャ〜…。
以上、「イデアの森」の感想でした。
コメント