「アレキサンダー」

2005年3月11日
←昨年、全米で公開されるまではオスカー候補に挙げられてた本作。でもいざ封が切られてみれば、一気にラジー候補の仲間入り。いったいなにが/どこが悪かったのか――公開が遅れた日本ではどうしてもそんな見方になっちゃいますよねぇ。で、実際に観に行って私がまずビックリしたのは、この手の時代モノは格式ばった英国英語で話されることが多いのに、マケドニアのみなさんとアンジーはそんな風に聞こえなかったこと(マケドニアのみなさんはかなり舌先を巻いた感じ、アンジーはスラビックな感じ)。一緒に観に行った友人E(米国人)に訊いたところ、「マケドニアはコリンに合わせてアイリッシュ英語にしたんじゃないの?アンジーはたしかにロシアっぽいね」。ふ〜ん。でも聞き分けた自分の耳を褒める前に、もちっと基本英語をお勉強しましょうね>私

■「アレキサンダー」ALEXANDER(2004・米/英/独/和蘭)
IMDb→http://us.imdb.com/title/tt0346491/
日本公式サイト→http://www.alexander-movie.jp/
監督:オリバー・ストーン
脚本:オリバー・ストーン、クリストファ・カイル、レータ・カログリディス
出演:コリン・ファレル、アンジェリーナ・ジョリー、アンソニー・ホプキンス、ヴァル・キルマー、ジャレッド・レト、他
上映時間:173分

ストーリー:
紀元前350年ごろのマケドニア。マケドニア王フィリッポス(V・キルマー)と王妃オリンピアス(A・ジョリー)の間にアレキサンダー(C・ファレル)誕生。両親が激しく憎み合う中、友人たちに恵まれて成長するアレキサンダーだったが、フィリッポスの暗殺によりわずか20歳で王に即位。そして圧倒的不利ながら自ら軍を率いてペルシャ軍を撃破、さらに世界統一を成し遂げようと東方遠征をするが、それは想像を絶する過酷な戦いとなっていく――。

どんなに駄作なのかと思ってたら、それなりに観れちゃった。
でもやっぱ「上映時間173分」ってのは長いなあ。

2300年の時を経て、今明かされる史上最大のミステリー
世界をその手に握るために、20歳の王は何をしたのか?


…という大げさな惹句がついていた、オリバー・ストーン解釈によるアレキサンダー大王さん。彼の東方遠征は、ぶっちゃけ――ママ・オリンピアスから逃れるためだったんでしょうかね?…約3時間、そのご所業を観ていた極東女子は、不謹慎ながらもそんなこと思っちまいましたよ。アレキサンダーさんときたら、カリスマなんて感じられない、ごくフツーの、イマイチ大人になれきれない、感情たれ流し青年という雰囲気で、そんな大将じゃあ部下だってついて来れないでしょうよ。

コリン・ファレルは悪くないと思う…けど、なんだか幼稚に見えちゃって損してるよなあ。こういった史劇はオーバーアクトになりがちとはいえ、オリンピアス役のアンジーは子離れできない母親という雰囲気で徹底的に舞台演技しちゃってるし…正直私だったら、こんなママはウザくてたまんないっス。ひとりっ子アレキサンダーくんも大変ですね。

スペクタクル史劇と謳われてるため、戦闘シーンでは象やでっかい槍の戦隊などと、一生懸命迫力のある画を出してきているものの……う〜ん…最近この手の映画が多かったせいか、さほど迫力があるとは思えず、さらに近距離でゴチャゴチャしているせいか、なにが起きてるかわからずイマイチ。また、アレキサンダーが勝利を手にする瞬間が観たいのに(←みんな期待してたと思う)、いきなりそれを端折って次へと移ってしまったりと、観てる側はここぞと思うときにカタルシスが得られない。たしかに時間軸ぶった斬って回想を入れたりするあたりは、ストーン監督らしい演出ですよ(「ニクソン」とかね)、でもドラマならまだしも歴史スペクタクルで多用されるとイライラする。しかもそれが3時間も続くときたもんだ。それにみなさん…あのシーンでアレキサンダーは死んじゃったもんだと思いませんでしたか?…いっそあそこで死んだほうが盛り上がったでしょうに。

アレキサンダーが両刀使い…たって、それがなんなのよ?いったい彼の人生にどう影響したわけ?というレベルでしかなく――ストーリーの中で完全に機能はしていないかと。男同士のプラトニックな愛情はわかりますよ、でも目と目を合わせてキックオフ♪(←意味わかんない人多そうだ)なだけ。フランシスコ・ボッシュ演じるバゴアスにいたっては、存在理由すらわかりましぇん。彼のゲイっぽい視線、ナヨっとした物腰――なんかこう出てくるたびに観ちゃいけないものを観ているような気にさせられ、私ゃいたたまれませんでした。プラトニックな愛を描写するなら、もっとストーリーのあるものにして下さいよ>監督…日本人なんてとくに衆道の歴史がある民族ですからね

いろいろケチをつけて申し訳ないんですが、ついでにもう少し云わせてもらいますと、アレキサンダーが東洋系のお姫さんロクサネと結婚するたって、女優さんがアフリカ系のロザリオ・ドーソンってどうよ!?…彼女が悪いんじゃなくて、大陸東洋系だったらインドの美人女優アイシュワリヤー・ラーイくらい配しなさいよっ!

↓アイシュワリヤー・ラーイ(IMDb)
http://us.imdb.com/gallery/granitz/1996/AishwaryaR_Pimen_1114496_400.jpg
(奇跡的な美人。英国で大人気)

しかもアレキサンダーとロクサネのラブシーンときたら、まるでハブとマングースの闘いを観ているかのようで、色気なんぞまったくナシ。アレキサンダーに男としての魅力が感じられましぇん。なまじコリンが演じてるだけに、「プライベートじゃもっと慣れてるんでしょうに」と思ってしまったじゃありませんか…トホホ。

スペクタクル史劇の場合、なにを重点的に描くか――あれもこれもと入れたい気持ちはわかるけれど、核となるひとつを決め、ポイント狙いをしたほうが単純明快になって面白いのでは?ラッシー主演「グラディエーター」はその好例ですね。…みんなが知ってる人物なので、エピソードに伏線を張りにくいのはわかりますよ、でも本作観る限りじゃあ、アレキサンダーがなにをしたかったのか、なんで東方遠征したのか――よくわかんないんだもん。

オリバー・ストーンがいつものような演出で、流行のスペクタクル史劇を撮ってみたものの――あ〜あ、でっかい失敗しちゃったなあ…そんなことを思った作品。

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