←「ドラゴン・レディかマダム・バタフライか」――ほんの一部のインテリ層は別として、一般的な外国人が持つ日本女性像はかなり誤解されてます。それを痛感させられたことがあって、私の友人にひとり、メリケン男がいるんですけどね、3〜4年ほど前、ヤツと初めて会った日に…なんて云われたと思います?「オンセン(温泉)に行こうよ。(日本女性と)一緒にオンセンに入るのが昔からの夢なんだ。それが普通なんだろう?」(←ただし酔っ払ってた)。あまりのことに笑えず、失礼なヤツの手を引っ叩き、「行って来い!大霊界!」と叫けんでやりました。それ以降、ヤツは(とりあえず)ジェントルマンですが、あのときは「MIT出ててもこの程度か」と非常にガッカリし…ってまあ、私も「メリケン男=体力自慢のバカ」と思ってたから、エラソーなこと云えないか。はははははは。いまは思ってませんよ、はい。

■「SAYURI」Memoirs of a Geisha(2005・米)
IMDb→http://us.imdb.com/title/tt0397535/
日本公式サイト→http://www.movies.co.jp/sayuri/
監督:ロブ・マーシャル
脚本:ロビン・スウィコード、ダグ・ライト
出演:チャン・ツィイー、ミシェル・ヨー、コン・リー、渡辺謙、役所広司、桃井かおり、工藤夕貴、大後寿々花、他
上映時間:146分

ストーリー:
貧しさゆえ、9歳で置屋に売られた千代(大後寿々花)は、売れっ子芸者の初桃(G・リー)のいじめに遭いながら、下女として育つ。姉と別れ、置屋のおかあさん(桃井かおり)からもつらい仕打ちを受ける千代の前に、会長さん(渡辺謙)が現れ、希望を失っている千代を励ます。あのときの会長さんに会いたい――ただその思いひとつで、芸者を志し始める千代。やがて置屋に「千代を育てたい」とNO.1芸者の豆葉(M・ヨー)が申し出に現れ、千代は豆葉のもとで修行、そして芸者さゆり(Z・ツィイー)として、一流芸者になっていく――。

「ニッポンが嫉妬するJAPAN」って云ったって、そんなのハリウッドというフィルターがかかる以上、描かれるのは日本でもJAPANでもなくジパングに決まってるじゃないの、と割り切って観に行ったつもりでした……が。

むむむむむむ…。

京都に住んでたことはあれど、花柳界のことはサッパリわからない私ですけども、「SAYURI」を観た限り、NO.1芸者になるためには――芸よりもまず第一に、どれだけ簡単に男をコロっと落とせるか、そういった落しと騙しのテクニックをいかほど持っているかということが、最重要ポイントになるでしょうか?芸よりタレントというか。

本作を観た海の向こうの方々は、本気で「ゲイシャは娼婦ではなく、エンターテイナーである」とお思いになるんでしょうかね?…まっこと疑問でありんすよ?>マーシャル監督

「娼婦とは違う」と云っても、男を落とそうとけなげに頑張ってる(ように私には見える)チャン・ツィイー、旦那システム、ウェストが絞られて体の線が極端に出ているフシギな着物(いや「キモノ」か)、吉原遊女のような初桃、あの時代はフツーなのかもしれないけど、お約束のように混浴シーンはあるし――水揚げ落札競争シーンなんか、この私ですら、幼い娼婦を演じたブルック・シールズの有名な映画「プリティ・ベビー」を思い出しちゃうくらいなんだから、ガイジンさんは余計に混乱するんじゃないの?

だからもうそこらへんはうっちゃって、これはさゆりの芸者一代記なのよ、と視点を切り替え(ってか、それが本来の視点です>秋林さん)観てたんですけど、my贔屓のミシェル姐さんがさゆりの指南役として出てきたあたりからでしょうか、だんだん展開が芸者版「ベスト・キッド」になってきたというか、私の目には、ミシェル姐さんがミヤギさん、ツィイーたんがダニエルさん、コン・リー&工藤夕貴チームがコブラ会、として映るようになってしまいました…。

キャラクターについては…初桃はわかりやすいけど、さゆりはなに考えてるか、最後までわかんなかった。まるでお人形さんがお人形さんを演じてるかのよう。演じさせられているというか。だからなのか、チャン・ツィイーより、幼少時代を演じた大後寿々花ちゃんのほうがよく見えちゃった。

花柳界にデビューして、初舞台(?)を踏むさゆりの舞も、あれはハリウッドのジパング舞というか…あまりにもデカダン東洋趣味で、日本というよりは巴里のムーランルージュ。参っちゃったなあ、舞をカンカンにされちゃったよ…。それならばいっそのこと、ジパングじゃなく本気で無国籍にして欲しかったなあ。

俳優陣については、中国系の女優さん3人は(本人たちが悪いんじゃないけど)やっぱり日本人に見えず、ジパング人。もう感覚で、置屋の世話女中みたいなおばさんも日本人じゃないとすぐわかる。それでも日本人俳優は(当たり前だけど)みな日本人に見えるし、ハリウッド映画だろうが役所広司のくたびれ方は相変わらずで、工藤夕貴もよくやってると思うし、桃井かおりはやっぱりなにも演じても桃井姉さんで、渡辺謙に至っては文句のつけようがない。

映像がとても美しいので、絵巻物語として観るならばさほど飽きはこなかった、でもそれだけじゃお腹いっぱいにはなれないよ――じゃあ腹八分目にしたら?…そんなこと云われたって、食べるんだったら、私はブレンド米よりコシヒカリを選ばせて頂くナリ。

もしスピルバーグが監督だったら?…「スピルバーグ」の名前だけで客が呼べるだろうから、もしかしたらメインキャストは日本人俳優でいけたかも…って、な〜んだ私も結局割り切れなかったってことか。音楽も別にジョン・ウィリアムズでなくたってよかったような…。

あ〜あ。
ま〜た、日本および日本女性を勘違いするヤツが出てきそう。花柳界の方々も、日本を訪れるガイジンさんの誤解を解くのが大変でしょうね…。映画をマジに受け取る人、少なくないから。

コメント

nophoto
ラフマニノフ
2006年1月5日12:24

写真が…、出てませんね(笑)。
今回の突っ込みはこれだけです。(^.^)

秋林 瑞佳
秋林 瑞佳
2006年1月5日20:58

ぎゃははははははは♪

そうなんです、出てないんです!
…たぶん、ジャケ写真が決定したら出ると思います♪

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