「2006年度上半期映画ちょっとだけ感想&デキゴトロジー」です。これは私が今年上半期に鑑賞した映画の中で、ちょっとだけ感想を書いておきたい、感想は別に書いたけどそれに補足をしておきたい、映画館でトンデモ事件に遭遇したので報告しておきたい…など、基本的に簡単な感想と、ヨタ話を記したものです。ただし、観た映画すべてを書くことは絶対ムリ!不可能!なので、一部だけとなっております。

(前口上、終わり)

今回の「1」は、デキゴトロジーよりちょっとだけ感想がメインでーす。

■「プライドと偏見」
WT社製作による文芸恋愛モノ。原作「高慢と偏見」は、「ユー・ガット・メール」の中でメグ・ライアンが引用していたほど有名。以前、英国で製作されたドラマ版が大変良くできていた上、「コリン・ファースといえばMr.ダーシー」というくらい彼の当たり役だっただけに、ファンは「Mr.ダーシーを演じるマシュー・マクファディンは、ダイジョブかいな?」と、しこたま心配していた模様(実は私もそのひとり)。フタを開けてみれば、マシュー・マクファディンはそんな悪くなかった…とゆーか、ドラマ版が「コリン・ファースありき」ならば、映画版は「キーラ・ナイトレイありき」、エリザベスもキーラに合わせて現代風にしてあって、意識的にドラマ版と差別化を図っていたという感じ。

主演のキーラはとてもクラシカルで綺麗な顔立ちをしているくせ、インタビュー映像を見ていると、なに喋ってるのか聞き取れないくらい早口かつサバサバ・あっけらかんと話す人なので、こういう文芸モノだとかなり素とのギャップを感じるけど、「ドミノ」よりこっちのほうが絶対似合ってると思う。WT社は正統派で古典的な恋愛モノも、英国映画にありがちなダラダラ・ジメジメを感じさせずにサラリと仕上げられるだから、やっぱ上手いっスね。

■「プルーフ・オブ・マイ・ライフ」
父親と同じ数学の才能を持って生まれた娘。親子として、同じ数学者として、彼の意見をどうしても聞きたい――そんな切羽詰ったときに、父親は真に精神のバランスを崩して二度と自分の前には戻ってこないんだと目の当たりにさせられたら?…自分が崩壊しそうになるよ…これはせつないね…。迷走していた感のあるグウィネス・パルトロウは、華やかな役柄よりこういう云いたいことがなかなか云えない、でも内に秘める情熱はあるんだという女性のほうが似合うと思う。

でもね。…いくらこれの舞台で彼女が主演したからって、それは数年前だったわけで、現在明らかに30過ぎだとわかる彼女が20代女性を演じ、しかもボーイフレンド役は、いまや全米女子から熱い眼差しを受けまくるジェイク・ギレンホールっつーのが、わたしゃどーしても許せないのよっ!!くわっ!それはじぇらしぃ〜。

■「イノセント・ボイス 12歳の戦場」
混んでいる「ホテル・ルワンダ」を避けて観に行ったのが、これ。12歳になった男の子はみな軍に強制的に徴兵され、兵士として教育を受け、戦場では簡単に殺されたという、80年代における中米エルサルバドルでの実話を元にした映画。軍もゲリラもあったもんじゃない、その悲惨な内容にたいへんショックを受けた。そして本編が始める前に流れたロゴが、アルバトロス・フィルムだったことにも衝撃を受けてしまったナリ。

■「レジェンド・オブ・ゾロ」
ゼータ姐さんは相変わらずお美しい、ルーファス・シーウェルはイメージが固定化しちゃって、毎回同じ役どころだよね…ってその前に、ちょっとちょっとちょっと!これのいったいどこがゾロ伝説なわけ!?パソドブレが鳴り響くスコアだけ。ぼそ。…ファミリービジネスなゾロ一家、お父さんゾロはママの尻に敷かれて毎日たいへん!という話じゃなく、怪傑ゾロの怪傑たる所以のカッコいいアクションドラマを私は観たかったのに!ばっかも〜んっ!!きいいいいいいいっ!!

■「ミュンヘン」
こんな問題作が待ってるんだったら、そりゃハートウォーミングな小作品を2本くらい(「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」「ターミナル」)、そして商業的なリメイク作(「宇宙戦争」)を撮ってみたかったってのも、いまとなってはよくわかる話か。みんなスピルバーグのルーツはユダヤ系だからどーのこーの云うけれど、それ以前に彼は米国人。本編の最後の最後でそれを痛感させられ、「結局、視点は米国からなのね」と正直ガッカリもした。それでもやはりスピルバーグ、面白かったっス。

とくにイスラエル暗殺部隊のメンバーひとりひとりの性格付けが上手く、キャスティングは完璧、中でもエリック・バナはマジメで誠実そうだから、その狂気をはらんで悩む姿には説得力があった。妊娠後期な身重の妻を気遣いながら「いつまでできるかな?」とセックスをする、妻も微笑みながら「生まれるまでできるわよ」――ひどい行為だと思う?…たしかに妻にとっては体力的につらいはず、けど逆に云えば彼はほかに相手を考えていない、妻だけしかいない、とてもとても誠実な男であるということ。妻を愛していて、妻も自分が愛されてるのをわかっている、そんな彼に求められるならつらくないわ――妻の思いも伝わってきて、そんな夫婦の姿にホロリときてしまった。まさかスピルバーグ作品で男女の関係を、しかもこんなちょっとしたシーンでホロリとさせられるなんて、思ってもみなかったナリ。

…「2」に続きます。

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