■『DEADHEAT』
ISBN:4199004254 文庫 英田サキ(挿絵:高階佑) 徳間書店 2007/02 ¥560
本編で1巻の内容を説明してくれるから大丈夫だろうと思い、2巻から読み始めたツワモノな私であるが、マグショットな1巻から、いきなりスーツ姿でFBI特別捜査官とCIA契約エージェントになっているカバー絵のふたりである。次巻(最終巻)はどうなるんだろう?…と思ったら、いきなりミリタリーなふたりになってた。
!以下、マジでネタバレ注意報!
今回はFBIとCIAかあ、英田サキって「惹かれ合ってはいけない立場のふたり」というシチュエーションがとことん好きなのね…と思いつつ手に取った、個人的にいまだ攻の名前に抵抗が残るディック&ユウト「デッドなんちゃら」シリーズにして、当て馬の真打ち登場の第2巻である。
相変わらずストーリーはテンポよく流れていくのだが、FBI特別捜査官になっても、これまた相変わらず「その捜査能力はどうよ?」、恋は盲目状態なユウトには参る。当て馬兼協力者のロブ(以下、教授)だけで解決できそうだ。姫っぷりはカワイイのだが、頼むからもっとしっかりしてくれ!簡単に人を信用してベラベラ喋るな!アナタ、FBIでしょ!?…と云いたくなってしまう。ただし、ラストで決意を新たにコルブス逮捕を誓ってくれたので(理由はやっぱりディック絡みではあるが)、次巻での活躍を期待しよう。
さて。問題はディックである。
「金髪、碧眼、高身長の一見クールビューティ。でも実は好きな相手に甲斐甲斐しい、甘いタイプ」という、たいへんなギャップ持ちのBLウケが良い色男のはずなのに、このシリーズでよく目にする感想といえば、「ネトがステキ♪再登場が嬉しい♪」「ディックより教授のほうがいいんじゃない?」(秋林調べ 6/24現在)。今のところ、ユウトとカラダを合わせねば、読み手にディックの本音が具体的に伝わってこないので、当て馬が魅力的に思えるのは仕方がないと云えるだろう。ただ、海千山千な教授にあれだけ迫られてるくせ、多少フラつきながらも(腐女子はそれが嬉しい)、生殺し且つ袖にし続けるユウトを見ていると、よっぽどディックとは具合が良かったのね、ヤツは上手いんだ、そっかそっか…などと思ってしまう。………。とりあえずディックに関しても、次巻でのさらなる(そっち面以外の)魅力爆発&活躍を期待しよう。
ちなみに、1巻の感想で「攻のキメ台詞(パンチライン)が、私にはなかなかクリーンヒットしない。ジョージ・クルーニーが云ったら、ピッタリくるような台詞が欲しい」と嘆いたのだが、この2巻ではなんと別の場所に見事クリーンヒット!
「チーズピザを頼む。悪いがオリーブオイルを瓶ごとつけてくれ」
コトの真っ最中に電話をし、「オイルをくれ」とルームサービスを要求するディック!
そんなディックに対し、ユウトは――
「本番の前に腹ごしらえ?」
………。
英田センセとディック&ユウトには申し訳ないのだが、どうしてもこらえきれず、終電の中(乗客は私ひとり)で大爆笑してしまった。これはコントなのか!?
せっかく盛り上がっていたところに、オイルが届くまでインターミッションを強いられるのは興ざめだと思うのだが…どうだろう?…若ければアダルトな駆け引きなんて必要ない、俺たちにとってジョージ・クルーニーはオヤジだ、というところか。ただ個人的に、なにゆえチーズピザを選んだのか、ディックに訊きたい。オリーブオイルを丸ごと一瓶なら、チーズピザよりアンチョビピザのほうが自然である。ハナからピザが目的じゃないということを、読者とユウトに知らしめたかったのか。云われなくても、日ごろからオリーブオイルの別利用法ばかり読んでる腐女子は即理解できるだろう、でも当のユウトがあれじゃ…。
キャラクターたちにとっては、ニッチもサッチもいかないデッドヒートな状況を見せる2巻。でも読んでるコッチとしては、なんだか楽しい展開になってきたので、最終巻となる3巻『DEADSHOT』に期待したいと思う。
評価:★★★
好きか嫌いかは別として、BLでは王道なキャラ設定とエピソード展開で定番なのに読ませるなあ、という印象。あと出てきていないのは「媚薬」くらいか。子供っぽいユウトが気になる。キャラ文庫はターゲット年齢層低めだから、それに合わせているだけ?…警察機構を嬉々として書く英田サキの魅力が、それで半減しなければいいけど。
そして、もうひとり気になるキャラが教授。なんつーか、もう登場した時点でフラれるのが決定的だとわかるとゆーか、別所哲也かジェイムズ・マーズデン、という当て馬ぶりを好演しているだけに、主人公カップルより幸せになって欲しい、とつい思ってしまう私である。
NO STAR … 論外/問題外作
★ … お好きな人はどうぞ。
★★ … つまんない。
★★★ … 退屈はしないしけっこう面白い。
★★★★ … 面白い。佳作/秀作。
★★★★★ … 天晴れ。傑作。
ISBN:4199004254 文庫 英田サキ(挿絵:高階佑) 徳間書店 2007/02 ¥560
宿敵コルブスを追えば、いつかディックに会える──。
密かな希望を胸にFBI捜査官に転身したユウト。彼を縛るのは、愛を交しながら決別を選んだCIAのエージェント・ディックへの執着だけだった。
そんなある日、ユウトはついにコルブスに繋がる企業との接触に成功!! ところがそこで変装し別人になり済ましたディックと再会し!?
敵対する二人が燃え上がる刹那──デッドエンドLOVE第2弾!!
本編で1巻の内容を説明してくれるから大丈夫だろうと思い、2巻から読み始めたツワモノな私であるが、マグショットな1巻から、いきなりスーツ姿でFBI特別捜査官とCIA契約エージェントになっているカバー絵のふたりである。次巻(最終巻)はどうなるんだろう?…と思ったら、いきなりミリタリーなふたりになってた。
!以下、マジでネタバレ注意報!
今回はFBIとCIAかあ、英田サキって「惹かれ合ってはいけない立場のふたり」というシチュエーションがとことん好きなのね…と思いつつ手に取った、個人的にいまだ攻の名前に抵抗が残るディック&ユウト「デッドなんちゃら」シリーズにして、当て馬の真打ち登場の第2巻である。
相変わらずストーリーはテンポよく流れていくのだが、FBI特別捜査官になっても、これまた相変わらず「その捜査能力はどうよ?」、恋は盲目状態なユウトには参る。当て馬兼協力者のロブ(以下、教授)だけで解決できそうだ。姫っぷりはカワイイのだが、頼むからもっとしっかりしてくれ!簡単に人を信用してベラベラ喋るな!アナタ、FBIでしょ!?…と云いたくなってしまう。ただし、ラストで決意を新たにコルブス逮捕を誓ってくれたので(理由はやっぱりディック絡みではあるが)、次巻での活躍を期待しよう。
さて。問題はディックである。
「金髪、碧眼、高身長の一見クールビューティ。でも実は好きな相手に甲斐甲斐しい、甘いタイプ」という、たいへんなギャップ持ちのBLウケが良い色男のはずなのに、このシリーズでよく目にする感想といえば、「ネトがステキ♪再登場が嬉しい♪」「ディックより教授のほうがいいんじゃない?」(秋林調べ 6/24現在)。今のところ、ユウトとカラダを合わせねば、読み手にディックの本音が具体的に伝わってこないので、当て馬が魅力的に思えるのは仕方がないと云えるだろう。ただ、海千山千な教授にあれだけ迫られてるくせ、多少フラつきながらも(腐女子はそれが嬉しい)、生殺し且つ袖にし続けるユウトを見ていると、よっぽどディックとは具合が良かったのね、ヤツは上手いんだ、そっかそっか…などと思ってしまう。………。とりあえずディックに関しても、次巻でのさらなる(そっち面以外の)魅力爆発&活躍を期待しよう。
ちなみに、1巻の感想で「攻のキメ台詞(パンチライン)が、私にはなかなかクリーンヒットしない。ジョージ・クルーニーが云ったら、ピッタリくるような台詞が欲しい」と嘆いたのだが、この2巻ではなんと別の場所に見事クリーンヒット!
「チーズピザを頼む。悪いがオリーブオイルを瓶ごとつけてくれ」
コトの真っ最中に電話をし、「オイルをくれ」とルームサービスを要求するディック!
そんなディックに対し、ユウトは――
「本番の前に腹ごしらえ?」
………。
英田センセとディック&ユウトには申し訳ないのだが、どうしてもこらえきれず、終電の中(乗客は私ひとり)で大爆笑してしまった。これはコントなのか!?
せっかく盛り上がっていたところに、オイルが届くまでインターミッションを強いられるのは興ざめだと思うのだが…どうだろう?…若ければアダルトな駆け引きなんて必要ない、俺たちにとってジョージ・クルーニーはオヤジだ、というところか。ただ個人的に、なにゆえチーズピザを選んだのか、ディックに訊きたい。オリーブオイルを丸ごと一瓶なら、チーズピザよりアンチョビピザのほうが自然である。ハナからピザが目的じゃないということを、読者とユウトに知らしめたかったのか。云われなくても、日ごろからオリーブオイルの別利用法ばかり読んでる腐女子は即理解できるだろう、でも当のユウトがあれじゃ…。
キャラクターたちにとっては、ニッチもサッチもいかないデッドヒートな状況を見せる2巻。でも読んでるコッチとしては、なんだか楽しい展開になってきたので、最終巻となる3巻『DEADSHOT』に期待したいと思う。
評価:★★★
好きか嫌いかは別として、BLでは王道なキャラ設定とエピソード展開で定番なのに読ませるなあ、という印象。あと出てきていないのは「媚薬」くらいか。子供っぽいユウトが気になる。キャラ文庫はターゲット年齢層低めだから、それに合わせているだけ?…警察機構を嬉々として書く英田サキの魅力が、それで半減しなければいいけど。
そして、もうひとり気になるキャラが教授。なんつーか、もう登場した時点でフラれるのが決定的だとわかるとゆーか、別所哲也かジェイムズ・マーズデン、という当て馬ぶりを好演しているだけに、主人公カップルより幸せになって欲しい、とつい思ってしまう私である。
NO STAR … 論外/問題外作
★ … お好きな人はどうぞ。
★★ … つまんない。
★★★ … 退屈はしないしけっこう面白い。
★★★★ … 面白い。佳作/秀作。
★★★★★ … 天晴れ。傑作。
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