■『エロとじv―b-BOYアンソロジー』
ISBN:4862631908 単行本 リブレ出版 2007/06 ¥1,100
普段は映画ネタをメインで書いている当ブログ。
←でリンクさせて頂いているシューさんがおっしゃるように、「急に毛色の違うBlog」になってきました。
……。いっそのこと、ブログ名を「秋林瑞佳のナナイロブログ♪」にしようかな。…って、しないけど。
■「クリスタル」 作:榎田尤利 扉絵:中村明日美子
扉惹句:「エレベーターという密室が、二人のありのままを暴き出す――」
BL界でも、その文章力・描写力はバツグンだと思われる榎田尤利による、エレベーター内での上司×部下、年下攻モノ――とりあえずは。
↓参考:榎田作品感想(『交渉人は黙らない』『犬ほど素敵な商売はない』)
http://diarynote.jp/d/25683/20070502.html
(同日更新しているので、他に1本の感想があります)
最年少取締役、自分のルックスに自信アリの27歳・狩野が主人公、その彼による一人称で話は進む――なんてスラスラと読めるんだろう。榎田尤利の一人称は、相変わらず上手くて隙がない。主人公になりきって書いてるんだろうな、きっと。千の仮面を持つ作家とゆーか、PCの前では頭の中が女優になっているんじゃないだろーか?
榎田尤利の代表作は、たぶん「魚住くんシリーズ」だと思うのだが、私にはちょっとセンシティブ過ぎるところがあって、キライじゃないけど特別好きというわけではなかった。もう少し、エンタテインメントを感じさせるものを書いてくれないかな〜と思ってるうち、数年が経ち、気が付けばファンタジー小説まで手がける、エンタ調節自由自在な人気作家となっていた。恐るべし。
!以下、ネタバレ注意報!
さて。本作は、鬼塚ツヤコ作「痴漢電車」の感想の際に、「同じ『密空間で陵辱、年下攻、ワケありの攻と受』という設定で、このあと素晴らしい出来のスリリングな短編が出てくる」と評した作品である。短編好きにはたまらない上手さ。惚れ惚れする。
ストーリーは、事故で動かないエレベーター内に取り残された攻・上司(年下)である狩野が、狩野の元教育係で現在は部下である芳原(年上)を堕としめ、奪っていく――というもの。これだけ書けば、「なんだまた陵辱ものか」と思われてしまうのだが、最後に…とゆーか、結果的に堕とされた(喰われた)のは、実は俺節な狩野のほうだった、という密室逆転劇である。ただの陵辱もので終わらない/終わらせない、ひとヒネリ半、加えてきた仕上げを高く評価したい。
ただの逆転劇で終わるなら「ひとヒネリ」で終わる。なぜそれに「半」をつけたのか。榎田尤利が初めて書いたと思われるスカ**(秋林さんビックリ)が、「クリスタル」に繋がって逆転劇の切り札になっていく――その流れが「半」であり、見事だったからである。最後のシメの一行もイイ。「半」をさりげなく加えてくる作家が榎田尤利なんだと思う。断言するけど、フツーの作家なら「ヒネリ」で終わるね。
エロはさほど激しくはないが、私にはこれくらいで充分。
隙および死角ナシ、ベタ褒めの1本。
評価:★★★★★(ブリリアーント!)
秋林好み度:★★★★(なんで一個足りないの?と云われそう)
タイトルの付け方が上手いなあ。フツーの作家だったら(という書き方はたいへん失礼である…すみません)「体感エレベーター」とかなんとか、凡庸なのをそのまま付けそうだ。絵師・中村明日美子による扉絵は、なんとなく爬虫類系なイメージ。好き嫌いは出てくると思うけど、エダ作品には新鮮に映る。惹句は可もなく不可もなく、凡庸。これがちょっともったいなかったかな…。
しっかし…エダさんがスカを書くなんてなあ。正直、私はソッチ系がニガテなんだけど、狩野というキャラならやりそうだし、グロくて嫌味ないやらしさがない。さらに「クリスタル」を活かすためのソレだとわかるので、やっぱり上手いとしか云えず。
ISBN:4862631908 単行本 リブレ出版 2007/06 ¥1,100
2007年6月19日『エロほんv』と同時発売!!キラキラ表紙が目印!業界騒然!! ボーイズノベルの最強作家陣ここに集まる!小説b-Boyで初登場以降、ありえないほどの人気エッチ企画が、新作書き下ろし6本を加えてアンソロジー化★ 空前絶後のエッチを見よ!
ラインナップ
英田サキ、あさぎり夕、あすま理彩、斑鳩サハラ、和泉 桂、榎田尤利、鬼塚ツヤコ、木原音瀬、南原 兼、水戸 泉、水上ルイ、山藍紫姫子、雪代鞠絵
普段は映画ネタをメインで書いている当ブログ。
←でリンクさせて頂いているシューさんがおっしゃるように、「急に毛色の違うBlog」になってきました。
……。いっそのこと、ブログ名を「秋林瑞佳のナナイロブログ♪」にしようかな。…って、しないけど。
■「クリスタル」 作:榎田尤利 扉絵:中村明日美子
扉惹句:「エレベーターという密室が、二人のありのままを暴き出す――」
BL界でも、その文章力・描写力はバツグンだと思われる榎田尤利による、エレベーター内での上司×部下、年下攻モノ――とりあえずは。
↓参考:榎田作品感想(『交渉人は黙らない』『犬ほど素敵な商売はない』)
http://diarynote.jp/d/25683/20070502.html
(同日更新しているので、他に1本の感想があります)
最年少取締役、自分のルックスに自信アリの27歳・狩野が主人公、その彼による一人称で話は進む――なんてスラスラと読めるんだろう。榎田尤利の一人称は、相変わらず上手くて隙がない。主人公になりきって書いてるんだろうな、きっと。千の仮面を持つ作家とゆーか、PCの前では頭の中が女優になっているんじゃないだろーか?
榎田尤利の代表作は、たぶん「魚住くんシリーズ」だと思うのだが、私にはちょっとセンシティブ過ぎるところがあって、キライじゃないけど特別好きというわけではなかった。もう少し、エンタテインメントを感じさせるものを書いてくれないかな〜と思ってるうち、数年が経ち、気が付けばファンタジー小説まで手がける、エンタ調節自由自在な人気作家となっていた。恐るべし。
!以下、ネタバレ注意報!
さて。本作は、鬼塚ツヤコ作「痴漢電車」の感想の際に、「同じ『密空間で陵辱、年下攻、ワケありの攻と受』という設定で、このあと素晴らしい出来のスリリングな短編が出てくる」と評した作品である。短編好きにはたまらない上手さ。惚れ惚れする。
腕のオメガは午後一時四十三分を指している。エレベーターが止まっても時間を確認できる(どんな状態下でも冷静に自分を保てる自信家の俺節タイプで)、オメガ(それなりにお金を持っている)を持つ男――たった一行で人物像が浮かび上がる。他の作家なら「時計に目をやると午後一時四十三分だった」とか書きそうだよなあと、冒頭のこれだけでシビれる私も、かなりヘンではある。
ストーリーは、事故で動かないエレベーター内に取り残された攻・上司(年下)である狩野が、狩野の元教育係で現在は部下である芳原(年上)を堕としめ、奪っていく――というもの。これだけ書けば、「なんだまた陵辱ものか」と思われてしまうのだが、最後に…とゆーか、結果的に堕とされた(喰われた)のは、実は俺節な狩野のほうだった、という密室逆転劇である。ただの陵辱もので終わらない/終わらせない、ひとヒネリ半、加えてきた仕上げを高く評価したい。
ただの逆転劇で終わるなら「ひとヒネリ」で終わる。なぜそれに「半」をつけたのか。榎田尤利が初めて書いたと思われるスカ**(秋林さんビックリ)が、「クリスタル」に繋がって逆転劇の切り札になっていく――その流れが「半」であり、見事だったからである。最後のシメの一行もイイ。「半」をさりげなく加えてくる作家が榎田尤利なんだと思う。断言するけど、フツーの作家なら「ヒネリ」で終わるね。
エロはさほど激しくはないが、私にはこれくらいで充分。
隙および死角ナシ、ベタ褒めの1本。
評価:★★★★★(ブリリアーント!)
秋林好み度:★★★★(なんで一個足りないの?と云われそう)
タイトルの付け方が上手いなあ。フツーの作家だったら(という書き方はたいへん失礼である…すみません)「体感エレベーター」とかなんとか、凡庸なのをそのまま付けそうだ。絵師・中村明日美子による扉絵は、なんとなく爬虫類系なイメージ。好き嫌いは出てくると思うけど、エダ作品には新鮮に映る。惹句は可もなく不可もなく、凡庸。これがちょっともったいなかったかな…。
しっかし…エダさんがスカを書くなんてなあ。正直、私はソッチ系がニガテなんだけど、狩野というキャラならやりそうだし、グロくて嫌味ないやらしさがない。さらに「クリスタル」を活かすためのソレだとわかるので、やっぱり上手いとしか云えず。
コメント
私も「クリスタル」についてのひねりはホント上手いと思いました。それで「クリスタル」なのね!と。
そして、何はともあれ、感想完了お疲れ様でした。
ていうか、なんか私もちょっと成長した気がするんですよね、秋林さんのを読んで、自分も書いて、ということで(笑)
そうそう!そうなのっ!タイトルまで上手いなとしみじみ。
>なんか私もちょっと成長した気がするんですよね
バージョンアップDさんですね♪…うふふ♪